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 ←№63(side:奏音)痛みを伴う予感 →№65(side:奏音)想う数だけ聞こえる音色
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アナザー・スキップ・スキップ・ビート!

№64(side:久遠)平気じゃないのは たぶん俺

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「申し訳ないのですが…私 まだ16ですし…。」

 ん…?

「かなねちゃ…」

「まだまだ…半人前です…結婚なんて…・」

 …!

 呼びかけようとした声が 止まった。
  
「奏音さん?まさか…と 思いますが…。」

「え?」

「あのゴシップ誌の報道…事実なんですか?『クオン、プレイボーイ廃業!娘のような恋人!』って!」

 …!!

「ち、ちがいます!でっちあげです!あ、あの方は その…保護者のような…!」

 ……!!!!!

「…失礼!そうですよね!貴女のお父さんより ずっと年上ですし…!」

  くっ!

 それ以上
 聞いていられず その場を離れた。

 …まったく!!

 先週のバイオリニストといい
 先月のチェリストといい 先々月のフルート奏者といい

 一度でも 共演した男という男
 どうして こう 誰も彼も 彼女に血迷うんだっ!!!

 5mほど離れた茂みに 身を隠した。

 彼女なら 大丈夫…(なんせ 常に鉛入り扇 装備してるし!)とは 思う。
 思うが  万が一って事もある。悲鳴でもあがったら 即 駆けつけられるように…。

 ぱたぱたぱたっ

 ほどなく 彼女が こっちに向かって走ってきた。
 
「…やあ 奏音ちゃん。」

 さも 今あったばかりというふりで 何気に声をかけた。

「あ!?く、久遠さん!?ど、どうして このホール…!」

「早めに撮りが終わったんで…一緒にディナーでもどうかな…って お姫様を お迎えに…ね。」

「あ、ありがとうございます!」

 即 作って見せた笑顔は
 いつもとちがって こわばっていた。

「オーケストラとの合同練習…うまくいった?」

「え、ええ!」

 あのとき 聞こえた声は、
 世界的にも 高名な…客演指揮者…だったか。

「…元気ないね?なにか…あった?」

「いえ!全然!」

 にっこと 彼女はいつもの笑顔になった。

「オケとの呼吸もばっちりで!本番が楽しみです!!」

「…そ…う…。よかったね。」

 また…か。

 また…今回も 俺には秘密にする…のか。

 仕方ない

 『保護者のよう』ではあっても…「親」では ない。

 告白されたとか 求婚されたとか
 いちいち報告してくれなくても 文句言えた義理じゃない…。

      「ち、ちがいます!でっちあげです!」

      「あ、あの方は その…保護者のような…!」

 保護者…か。

 胸が痛い…。

 どうしてだ?

 なぜ、こんなに…苦しいんだ!?

 『保護者』として ふるまってきたんだ!

 彼女にそういわれたら…喜ぶべきだろう!

 喜ぶ…べき…なのに…!!

    「私 まだ16ですし…。」

    「まだまだ…半人前です…結婚なんて…・」

 でも

 彼女も すぐに大人になる。

 いや

 この1半年
 出場したコンクール全部に優勝して

 いまや 世界を舞台に活躍してる 天才ピアニスト

 愛らしい容姿とあいまって 老若男女の別なく人気者で
 CDもDVDも クラシック界では前代未聞のミリオンセラーを記録し続けている。

 彼女に接した男は
 みな その容姿と人柄の愛らしさに夢中になってしまう…と

 お堅い音楽専門誌でさえ 大々的に書きたてていたっ。

「あの…久遠さん。」

「ん?」

 レストランに向かう車の中
 彼女が おずおずと話しかけてきた。

「私…おかげさまで…来年の6月で 大学の課程 全部 終えられそうなんです。」

 っ!

「ま、まだ…ここにきて 1年半…!」

 4年かかるんだろう?!普通は!!

「海外コンサートに行ってる間の救済措置で テストを受けさせていただいたんです。」

「…テスト…?!」

 …と なると。

「全テストに なんとか 合格できましたので。卒業に必要な単位 ほとんどいただけました。」

 …

 「なんとか」…ね!

 大学からおくってくる成績表…
 全教科 満点以外 見たことないんだが!?

 頭脳も 母親譲り…いや 以上か!?

「それで…卒業後は 日本に拠点移そうと思うんです。」

 っ!!

「…え?!」

「パパが えっと その…すっごく心配して『オレの手が届く範囲にいろ!』って」

「…不破君…が?」
 
「え、ええ。パパに 直接 バカなこといいに行く人たちとか いるらしくて…。」

「…『お嬢さんをください』…って?」

 たちまち
 奏音ちゃんが 真っ赤になった。

 なるほど…。
 俺が知ってるのは 氷山のほんの一角らしい!

「…と、とにかく…。来年の6月。卒業したら 日本に帰ります。」

 …今は 10月…!
 
 あと…1年足らずで…!?

「ア、アメリカ 拠点にしてるほうが…え、演奏活動には 都合がいいんじゃ…。」

 違う!
 こんなことが 言いたいんじゃない!

「それ、日本に対する侮辱ですよぉ。日本だって 充分 文化レベル高いです!」

「あ、ああ…ご、ごめん。そういうつもりじゃ…。」

 彼女が
 いなくなる…?

 俺の前から 姿を…消す!?

 そんなの
 そんなの 耐えられない!

 そんなこと…!

 彼女に この別荘貸したら  
 俺は 別の…マンハッタンのに 住もう…と

 彼女に会うまでは…予定していた…。

 だが
 結局 同居を決めた。

 どうしても
 そばに 置いておきたかった。

 やや(というか 相当に)破天荒なとこはあったが

 素直で純粋で 一生懸命で誠実で 

 かわいくて

 眼を離せなかった
 離したくなかった…どうしても…。

「まあ、そうは言いましても、演奏活動で 世界中 跳ね回るので…。」

 奏音ちゃんは まったく平気な顔でほほえむ。

「また アメリカに来ることがあれば 演奏聴きにいらしてくださいね!」

 明るく 屈託ない声に 血の気が引いた。

 この子は…平気だ。

 この子にしたら 俺は…父親より年上の…ただの…保護者!

 ダメだっ!

 もう
 これ以上 大切なもの 失うのは…!

 もうたくさんだ!!

「…ごめん…。」

「?はい?」

「俺は…もう 君の保護者ではいられない…。」

「…は?」

 今 気づいた

 やっと 自分の想いに!

SwanLake.jpg

「…きれい…!セーヌの川に…お月様が映って…!!」

「…ああ…」

 セーヌの川岸に建つシャトー。

 遥か昔…最上さんのために買って…
 「あの」後 母に 譲り渡して放置したままだったのを

 親父と母が 完全に内装をしなおして 改めて俺たちに贈ってくれた。

 なにしろ式が決まったのは 1週間まえだったので
 コネを使って ノートルダム寺院の祭壇 特別にお借りしたが
 披露宴会場は さすがに予約できなかったから この城の大広間を使うことにした。

 ここなら 招待客の半分は 宿泊してもらえる。
 残り半分は 父所有のシャルトルのほうの古城やサンミシェルの別荘に行ってもらった。

「…『月光』 弾きたい…。」

「ぜひ、聴きたいな。」

 もちろん ちゃんと ピアノは用意してる。

 さっと彼女は ピアノの前に座る。

「覚えてる?」

「ん?」

 月の光がきらめくような 繊細なメロディ
 聴き惚れてる俺に 彼女がそっとつぶやいた。

「初めて あなたに聴かせたのも…これ…。」

「ああ。そうだったね。」

「…私…ね。」

「ん…?」

「あのとき…もう…あなたのこと…好きだった…の…。」

「…!」

 さっと彼女の元に 駆け寄り
 そのきゃしゃな まろやかな肩を抱く。

「奏音…」

「…え?あ、あの!く、久遠…?」 

 さっと抱き上げた。

 俺の腕の中 奏音が 呆然としている。

「行き先変更…。いこう?すぐ…ベッドに…。」

「え?え!?」

「そんな可愛いこといわれて…」

 にっこり ほほえんだ。

「我慢できる男だと思う?この俺が!」

 たちまち
 彼女が 真っ赤になる。

「おも…わ…ない…。」

 消え入りそうな声で
 ぎゅっと 俺にしがみついてきた。

 
イラスト「Swan Lake」(Heaven’s Garden様より)
画像



お題提供「恋したくなる お題配布」様より
「手放せない恋のお題」
恋したくなるお題配布bana2


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