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アナザー・スキップ・スキップ・ビート!

№66(side:久遠)ご褒美=(イコール)君

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 ほぉ~…

 スポットライトを浴びて 小柄で華奢な少女が舞台に登場した。

 ただ
 …それだけで

 会場中から 感嘆のどよめきが起こる。

「…今日も すごい…ドレス…!」

「見たことないデザインよね?どこのブランド…?」

「また どっかの一点ものよ!どうせ!」

 前方の参加者席から 押し殺した陰口が 聞こえてくる。

 上質なベルベットのえんじ色を基調に
 色とりどりのレースやシフォンを鮮やかに配したセンスのいいドレス

 …俺が贈ったのは 今日は 選んでもらえてないようだ…。

「いいわよね!!有名人の子は ドレスもアクセも もらいものばっかで」

「内心 いい気になってるんじゃない?下心つきとも 知らないでっ!」

「みんな アンタじゃなくて アンタの親目当てで近づくのよって教えてやりたいわよね!」

 猛々しい毒のはらんだ 押し殺した会話。

 …彼女の価値がわからないようじゃ
 こいつら たいした才能じゃないんだろう。

 優雅に腰掛けた彼女が すっと鍵盤に手を置く。
 
 とたん

 はたと 会話がやみ やつらも前に集中した。

 真剣な表情で

 なんだ
 わかってるんだ 彼女の音楽は

おんぷ
 
 夢のようなひとときは あっという間に終わり
 彼女は アンコールの拍手で 何度も何度も 舞台に引き戻された。

 今日は、大学主催の演奏会。

 最年少とはいえ、
 いまや世界的に有名人である彼女は
 とうてい玄関から出ることなどかなわない。

 こっそりと スタッフ専用の搬出入車駐車場で待ち合わせた。

「すみませんでした!久遠さん!お待たせして!」

 彼女が 息を切らしながら、走ってきた。

「…あれ…誰から…?」

「はい?」

 発進してしばらくしてから 思い切って聞いてみる。
 どれほど待っても 自分からは 言ってくれそうにないからだ。

「今日の…舞台ドレス…。」

 生地もデザインも上質なドレスだった、見るからに!

「初めて見る デザインだったね…。」

「…あ、あの…。」

「…今度は 誰…?」

「え?」

「また、贈り物だろ?どうせ。」

 いつもいつもいつも
 彼女宛に 花束やら ドレスやら 山と届くので
 遠藤さんや 佳奈さんは 整理整頓で 苦労されている!

 あまりの多さに

 客用寝室ひとつ
 彼女専用ウォークインクローゼットその2に 改装せざるをえなかったくらいだ!!

「誰?先週、伴奏したロシアのヴァイオリニスト?それとも 先月のフランスのチェリスト?」
      
 とたんに
 奏音ちゃんが うつむいてしまったっ!

「ご…ごめん…。でも…俺には 保護者としての 責任があるし…。」

 あわてて 言い添える。

 そうだ!

 不破君や京子さんに『くれぐれも』って頼まれてるんだ!

 お、俺には 監督責任があるんだ!
 
「お、親代わりの立場として、高価なもの いただいて 知らんふりってわけには いかないだろ?」

 そうとも…!

 親の代理なんだから!

「だ、だから!
 プレゼントもらったら どんなものでも 俺に報告して…って お願いしてるよね?前から。」


 それでも
 奏音ちゃんは うつむいたきり 答えてくれない。

「…?奏音ちゃ…ん?」

 ど、どうしよう…!

「ど、どうしたの…?」

 口うるさい『おじさん』だと…思われてしまった…か?

「ご。ごめん。気に障ったなら あやまるから!」

「あの…!わ、笑わないで きいてくれます?!」

 とたんに
 いたずらっぽい表情で 彼女がにっこりほほえんだ。

「…え?」

おんぷ

「…笑わないでって 言ったのにぃ…」

「…ご、ごめ…っ…」

 話を聞いてるうちに
 しだいに運転ができなくなって、いそいで路肩に車をとめた。

 ついにたまりかねて ハンドルに突っ伏して 必死に笑いをこらえる。

 こ
 この子は!

 びっくり箱みたいだ ほんとに!

「み、みごと…な…わ、技…だよ!か、奏音…ちゃん!」

 なんとか 会話をしようと試みるが
 どう努力しても 言葉が とぎれてしまう!

「カ、カーテンと せ、先輩たちのドレスの組み合わせ…なんて…!ゆ、夢にも 思わな…」

 ダメだ!
 笑いをこらえきれない!

 ほ、本気で 息が苦しい!!

「…でもま、自業自得…だな。」

 深呼吸して どうにか笑いを収める。

 奏音ちゃんが ぶんむくれているのが ありありとわかるし
 これ以上 笑ってると 本気で 爆発されてしまいかねない…!

「ということは そのお嬢様方 哀れにも 下着姿で帰ったのかな?」

 女性たちに対して 言うべきではない言葉だが…。

 いい気味だっ!!

「出番が終わったら 元通り 復元してあげました!ちゃんと 縫い目だけ外してばらしたんだし!」

 …。

 何気に
 さらっというけど

 そんな…さらっとできる技術…か?
 
「それにしても 心配だな。そんなヤツらは、また…。」

 そこまで 腐りきった性根 そうたやすく直るはずが…!

「たぶん、大丈夫です。」

「…どうして…?」

「ちょっとだけ 釘さしといたので…。」

「…くぎ?」

おんぷ

「…で。それから5分とたたないうちに…。久遠さぁぁぁん?

「ご、ごめ…!」

 もはや
 我慢も限界だっ!!

 腹をかかえて 大笑いした!

「ひどい!ひどいひどいひどい!そんなに 笑わなくたって!!」

「ご、ごめん!ホント ごめん!!」

 もう
 本当に この子は!

 ひっくりかえった おもちゃ箱みたいだ!

 何が飛び出すか 予想もつかない!!!

Cinderella Chastle

 ん…?

 川の向こうの
 ノートルダム寺院から

 かすかに 鐘の音が聴こえている

 昔 貴族の住まいだったという古城

 あれ以来
 母に譲って 絶対に ここには近寄らなかった

 近寄ろうとさえ しなかった

 失った傷みを まざまざと 思い知らせる

 呪われた城にしか すぎなくて…。

 でも

「きゃー♪素敵ぃ!!夢に見てたようなお城!あこがれてたんです!」

 彼女が うれしそうに笑ったから。

「幸せです!お姫様になれた気分です…。」

 うっとりと 見つめてくれたから。

 のろいは すっかりとけて
 かがやくようなきらめきを とりもどした!

 今

 抱きしめているこのぬくもりは 確かに俺だけのもの。

 不世出の天才 ピアノの魔術師 美しきミューズ…

 いろいろ 大げさなキャッチコピーは つくけれど…。

 抱きしめたら こわれそうな
 やわらかく きゃしゃな 愛らしい少女

 やわらかく傷つきやすい心を 明るい笑顔で隠している

 俺だけの…愛しい存在…。

 かつて
 最上さんを失ったとき
 この世界すべてが 敵だと思った

 なにもかもが むなしいと思った。

 運命のいたずらを 呪った。

 あの事故さえ
 あれさえなければ…と…。

 だけど
 この子は 彼女と不破の愛の結晶

 あれがあったから
 この子は この世に生まれた。

 この奇跡のような すばらしい女性が この世に現れたんだ。

 たいしたことじゃない
 俺がかつて 味わった 悲しみも苦しみも
 全然 たいしたことなんかじゃ なかった!

 必要な傷みだったんだ…!
 この子を この世に出現させるために!

 いま
 やっと そのことが わかった。

 よく寝ている彼女を起こさないよう
 そっと 抱きしめる腕の力を 強める。

 奏音

 君に逢うまで
 俺は 笑い方さえ 忘れていた

 俺に
 笑うことを 思い出させてくれたのは…君

 君こそ
 神が俺につかわしてくれた 天使

 最高の贈り物!

 愛してる
 俺のすべてをかけて

 残る生涯 すべてをかけて…!
 
イラスト「Cinderella」(Heaven’s Garden様より)
画像


お題提供「恋したくなる お題配布」様より
「手放せない恋のお題」
恋したくなるお題配布bana2




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