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№69(side:京子)記念日じゃなくても

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「死にたくない…」

 ひそやかな かぼそい…声

「…かずねぇぇええ」

 佐久間夫人
 …彼女のお母さまの悲痛な…お声
 
「この…まま 何…も 残…さず…。」

「…弱気なこと いうんじゃない!」

 ショーが 彼女の手を握り締めて叫んだ。

「白血病なんぞに負けるな!ピアノ…弾きたいだろ!?もう一度!!」

 見えないながらも 必死に彼女に向かって言い諭す。

「オレともう一度 共演しよう!なっ!?」

 哀しいくらい 白くて明るい病室。

 わずか半年前…

 生徒会長として
 先頭にたって チャリティーコンサートしきっていた

 佐久間和音さん…は

 今
 青白くやつれて ベッドに横たわっていた。

 酸素吸入器が外され
 無菌テントも どけられ
 ショーに そばに来るよう指示された

 その…時点で
 …わかって…しまって…!

 涙で 目の前の光景が 見えない!

「…共演…。」

 彼女の目がうっすらと 開く。

「したい…。不破さん…と。」

「ああ、オレもだ!だから…!」

「おね…がい…。」

 弱弱しい力で 彼女はショーの手を握る。

「私の…角膜…あなた…に…。」

「なっ!」

「…せ…めて…目だけでも…ずっと…。」

「バカなこと考えるな!生きるんだ!!」

「…おねがい…最初で最後…だ…から…。」

 彼女の目から 涙があふれこぼれおちる。

「わがまま…きいて…おねがい…。」

「不破…さんっ…!」

 佐久間氏が
 彼女のお父様が 絞り出すような声で言う。

「『受け取る』…といってやってください!どうか…!」

「っ!」

「お、お願いです!不破さん!」

 お母様も 必死に訴える。

「こ、この娘の最期の…願い き、きいてやって…。」

 あとは
 涙に埋もれて 言葉にならない。

「…ずっと…。」

 ショーが震えながら 彼女の手を握り締めた。

「一緒に 歩いていこう…。音楽の道…!」

「…不破…さん…」
 
「オレは 死ぬまで 世界を代表するトップシンガーでいてやる!あんたと一緒に!」

「…あり…が…と…う…」

 それはそれは うれしそうに
 しあわせそうに 彼女は ほほえんだ。

 満足そうに 目を閉じた。

 ピーーーーーーーーーーーーーーーーっ

 次の瞬間
 枕元にあった 計器の音が 長く伸びた!

「…ご臨終です…。」

 医師の辛そうな一言

 ご両親の胸を引き裂くような 泣き声が響いた。

tunagaru

「キョーコ!キョーコ!!」

 っ!

「ショー…」

「どうした!?」

 …ここ…。

 ずっと 遠くから 子どもたちの楽しそうな…声…

 …子ども…!

 はっ!

「りょ、亮…っ!」

 起き上がりかけた体
 ぐいっと ベッドに戻される。

「…京香ちゃんと 遊んでる…。ちゃんと ヒズリ家の手配した子守が ついてるから。」

 私を 腕の中に抱きこんで ショーがささやく。

「で、でも!もう…」

 お日様が ずいぶん高い!

「いいから。」

 絶対に 私を離そうとしないまま ショーがじっと見つめる。

「…どうしたんだ…?」

 茶色がかった 澄んだ瞳

 この眼…の
 角膜は…和音さんから譲り受けた

 …形見!

「キョーコ?」

 その眼が 心配そうに 曇っている。

「…夢を…見た…の。」

 ぱふっと その胸にもたれこんだ。

「…どんな?」

 すぐさま
 ぎゅっと 抱きしめてくれる。

 私の涙に濡れたほほに口付けながら そっと優しく聞いてきた。

「…和音さんが…逝ってしまった日…の。」

 ぴくっ

 ショーの唇がとまる。

「…ああ…。」

 深く ため息をつく。

「そういえば…あの日も こんなふうに 百合の香りでむせ返るほどだった…な。」

 ゆり?

 あ!

 クー先生のご好意なのだろう

 先生が提供してくれた
 シャルトルのシャトーのゲストルーム

 部屋中が
 白く 薫り高い 百合の花であふれかえっている。

「しばらくは 百合を見るたび あの日を思い出して辛かった…。」

 あのとき
 まだ見えてなかったショーには 香りの記憶が より鮮明だったに違いない。 

「結局…生きてる彼女 一度も見たことないな…オレ…。」

「…帰国したら…お墓参りにいきましょう?その足で…。」
 
 月命日でさえ ないけれど…。 

「ああ、そうしよう。奏音たちと一緒に。」

 ショーに 光をくれた人。

 ショーを 好き…だった人。

 最期の最期まで
 ついに 想いを言わずに 逝ってしまった…。

 哀しくて…優しい人。

「あっ!!」

「ど、どうした!?」

「まさか!さ、佐久間さんご夫妻のお部屋にも 百合…!」

 私でさえ こうなったんだから!

 もし ご夫妻のお部屋に…!

「大丈夫。お二人の部屋には、百合だけは 避けて欲しい…って 頼んでおいた。あらかじめ。」

「…え…。」

「理由はいわなかったが あの遠藤は よく 気の利くやつだから、大丈夫だ。」

「そ、そう…。」

 よ、よかった!
 
 奏音の結婚式のために
 わざわざ フランスまで来てくださったのに

 哀しい記憶 呼び起こさせてしまったら あまりにも 申しわけない!!

「悪かった。」

「え?」

「ここの部屋にも 百合はやめてほしいと 言っとけばよかった。辛いこと思い出させて…。」

「辛くなんかない!」

「…え?」

「人は 二度 死ぬの…。」

「二度?」

「最初は、肉体的な死。2度目は 誰からも忘れられる 精神的な死。」

 ぎゅううっと ショーにすがりつきながら その胸の中につぶやく。

「思い出すたびに 和音さんは 何度でも生き返るもの。心の中に。」

「キョーコ…」

「うれしかった…夢の中でも…和音さんにあえて!」

 ショーを 好きだった人

 あなたが 一番 私を わかってくれる

 私が 一番 あなたを 理解できる

 月命日でさえないけれど
 日本に帰ったら その足で あなたのお墓を訪ねよう。

 あなたが好きだった 百合の花束を やまほど抱えて。

 あなたから 光をもらったショーと
 あなたから 名前をもらった 奏音と夫になったばかりの人と。

 月命日でさえないけれど

 あなたは
 きっと 喜んで迎えてくれるわよね?

イラスト「玉の緒」(Heaven’s Garden様より)
画像


お題提供「恋したくなる お題配布」様より
「永遠を誓った二人のお題」
恋したくなるお題配布bana2

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