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№70(side:尚)指輪の跡

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  ― 2008年 6月23日 ―

「…それでは…包帯を外します…。」

 静まり返った部屋の中
 医師の声だけが やけに大きく響く

「ですが…合図するまで 眼は決してあけないように…。いいですね?」

「…はい。」

 ぎゅっ

 キョーコが オレの右手を 固く握ってくれている。

 角膜移植の手術も 無事終わり
 今日はいよいよ 包帯が取れる…日。

 ゆっくりと 包帯が解かれてゆく。

 キョーコの手が震えている、
 …のを しっかり 握り締めかえした。

 完全に包帯がはずれ まぶたに 涼しい空気があたる。

「ゆっくりと…いいですか?本当に ゆっくりと 眼を開けてください。」

 医師の指示に従って ゆっくりと眼を開けた。

 まっくらな室内
 眼の前に ゆらゆらとゆれる 炎。
 
「…何が 見えます?」

「炎が…。ろうそくの…。」

 ぴくり
 キョーコの手が 固まった。

「ショ、ショー!み、見えるんか!?」

 おびえたような おふくろの声

「カーテンを 1枚だけ 開けて。」

 医師の指示に シャッと 一番遠いカーテンがあいて

 室内が さっきより わずかに 明るくなった。

 わかる!
 光が さすのが…!

「…キョーコ!」

「…え?」

「オレの目の前に 来てくれっ!!」

 眼の横は(保護するためだろう)目隠しのような機械に邪魔されて見えない!

「う、うん!」

 キョーコが オレの目の前に来る。

 記憶にあるより 髪が長くなっている。

 蒼白い…やつれた表情

 今 心配そうに オレを見つめている 

「…キョーコ…!」

 そのほほに手をあてて その眼をのぞきこむ。

「ショー!!みっ、見えるのね!?」

 たちまち
 キョーコの眼に 涙があふれた。

「あて板 外して」

 看護師が 俺の目の横に固定していた機械を どけてくれる。

「不破さん。今からカーテン1枚ずつ 開けて行きます。」

 ふっと ろうそくの炎を吹き消して 医師がほほえんだ。

「ゆっくり…明るさに 眼を慣らしていきましょう。」

「はい…!」

「せ、先生!」

「おめでとうございます。手術は大成功ですよ。」

 医師の力強い声に キョーコは ぼろぼろ泣き出した。

                   greentea

      ― 同年 7月3日 ―
「…やせた…か?」

 退院の日
 病院から帰る車中
 握り締めた キョーコの左手薬指に かすかに赤い痕が見える。

「あ、あの…さ、最近 食欲が…。」

 なっ!?

「ばかっ!なんで すぐ 言わない!」

「だ、大丈夫よ!7月になって 暑くなってきたせいだから!」

「引き返してください!」

 即、運転手に 呼びかける。

「は、はい」

 運転手が すぐに Uターンした。

      happy_red.gif


「に、妊娠3ヶ月!?ほ、ほんまか!?」

 川床料理のかきいれどき
 どうしても オレの退院にこれなかったおふくろが受話器の向こうで叫んだ。

「ああ…!」

 胸に こみあげてくる熱いものをこらえる。

「キョ…キョーコちゃんは!」

「貧血気味だから 大事をとって 今日だけ 入院していけって。
 この数日は オレの付き添いで 疲れてるだろうし。」
 

「だ、だいじないのんか?!」

「大丈夫。母子ともに じゅんちょ…」

 ?!

「…おふくろ?」

「…よ、よか…った…!ほんまに…!」

「泣くほどのことかよ…。」

 思わず 苦笑する。

「オレたちは、どっちも 若くて健康なんだ。遅かれ早かれ…。」

「これで…あのお人も あきらめてくれはる…。」

「っっ!!」

 なっ

 なに…をっ!

「アンタの眼 治ったら…今度という今度こそ…京子ちゃん さらいにくるんやないかて…
 気が気やなかったんやっ!!」

「なに…ばか…な…」

「そやかて!」

 オレの弱弱しい抗議に 即 おふくろがほえる。

「あ、あの人が 京子ちゃん あきらめて身を引いた理由 たった一つしかないのやで?!」

「…!」

「アンタの眼…!ほんまに それだけ…やったんやから!」

 携帯握った手が…震えてきた。
 
「でも…ややが できたんやったら もう大丈夫!」

 心底 安堵した声で おふくろがつぶやいた。

「よかったな 松!ほんま おめでとう!」

 晴れ晴れした声で オレを祝福する。

「ああ。うちも 来年の1月で 『おばあちゃん』かいな。もう、どないしまひょ。」

 声が 完全に浮かれていた。

「京子ちゃん 明日は帰ってこれるんやな!ごちそう たんとこさえて待っとくさかいに!」

 有頂天な声で 電話が切れる。

  ― 切断中 ―

 画面に出るメッセージが はっきり 見える。

 見える…

 携帯が見える
 廊下の床が見える
 病院の壁が見える

 窓の外には
 緑が見える 池が見える

 遥か かなたに 山が見える

 見えて しまう…。今の オレには…。

   「あ、あの人が 京子ちゃん あきらめて身を引いた理由 たった一つしかないのやで?!」

 あのとき

 キョーコ…が
 オレを 選んでくれた…理由

 たった ひとつの…理由が…ない。

 もう…ない!オレには…っ!!
 
イラスト「greentea」(Heaven’s Garden様より)
画像


お題提供「恋したくなる お題配布」様より
「永遠を誓った二人のお題」
恋したくなるお題配布bana2

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