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№19(side:尚)

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キョーコ!」

 真っ青になってしまった キョーコの その細い腕を強めにつかんで揺する。
  
「…え?」

「昔のことだろ?なっ!」

「ご、ごめんなさいね!京子さん 私ったら…!」

 佐久間夫人のあわてた声に ようやくキョーコも我に返った。

「い。いえ。こちらこそ…失礼しました…。」

 ようやく…という感じで 声を絞り出した。

「申し訳ありません。妻が 失礼を…」

 佐久間氏が いたく恐縮しきっている。
 …その様子に はっきりと キョーコが女優の顔になるのがわかった。

「そんな!お詫び申し上げるのは 私の方です!
 い…いまだに 事故の記憶に 動揺するなんて 本当に…お恥ずかしいです…。」


「無理もありませんわ 京子さん。」

「最愛の男性の一大事です。当然のことですよ。」

「…え、ええ。恐れ入ります…。」

「そうだわ!奏音ちゃんのリサイタル もう そろそろでしたよね?」

 いつまでも この話題はまずいと 判断したのだろう。
 聡明な佐久間夫人が 即 話題を転換した。

「来月、東京の響谷ホールで行います。ご都合がよろしければぜひ…。」

「つけますとも!」「ええ、なんとしても!」

「あ、ありがとうございます。」

「いつも 奏音のことまで お気にかけて頂いて…」

「そんな。当然ですわ!」

「もともと、京子さんが 毎月毎月、こまめに写真入りのお手紙くださってたうえに…
 ここ数年は 奏音ちゃんご本人からも 素敵なお手紙いただいてまして。」

「奏音ちゃんや亮君のことは、勝手ながら 孫のように思ってますのよ。」

「そうおっしゃっていただけると…二人も喜びます。」

 実際、奏音にも亮にも 幼い頃から しつけたから お二方のことは
 『佐久間のおじいさま おばあさま』だ。
 
 佐久間ご夫妻は お二人とも 心底 子ども達をかわいがってくださるので、
 奏音も亮も 心から 慕っている。

 その後は なしくずしに 奏音の留学の話や亮のキッズダンスコンテストの話になり、
 場の雰囲気が和んだ。

 車の中で 臨時に仕込んだとは思えないほど キョーコの受け答えは自然でなめらかだった。
 (まあ、こいつの記憶力…ほか もろもろ…は もともと 人外だ…。)

「不破さんが 数日分の宿泊予約とってくださってるので いい機会ですから
 観光していきますよ。」「この年になると、海外へ出ることも 思い立ちにくいですしね。」
 
 東京での再会を約束して、佐久間ご夫妻は、機嫌良く車中の人になった。

 ご夫妻を乗せたタクシーを見送り、あらためてキョーコを振り返る。

「…キョーコ…!」

 ご夫妻の前でだけ 必死にはりつけていた笑顔がはがれおち 真っ青になっている。

「…私…のせい…だったんです…ね…。失明…って…」

「…昔のことだ…!今は ちゃんと治ったんだから!」

 あわてて 胸の中にだきしめた その華奢な体が冷たくなって震えている。

 …まずい…!

 あの事故の時、自責の念にかられたキョーコの落ち込みぶりはひどかった。

 失明した俺のことより、みんながキョーコのことを案じたほど 尋常じゃない有様で

 ヘタすると俺に角膜残すために自殺しかねないと おふくろが いたく気をもんでいた。

「…それに…」

 すっと 息を吸い込んだ…。

「ここは…お前の世界じゃないんだろ?」

 ゆっくりと キョーコの顔があがる。
 そのほほをはさんで 言い聞かせる。

 もう…二度と京子を傷つけたくは…ない…!

「『向こう』の…お前の世界のオレは…おまえと結婚するはずない…んだろう?」

「え。…ええ…。」

「言ったものな…おまえ…よりにもよって オレとなんか 結婚するはずない…って。」

「あ!あの!それは あくまで『向こう』のアイツであって!
 あ、あなたとは 全然 別人ですから!性格も人格も全部!!」


「…つまりは…お前の言う『向こう』は、こことは 別の世界だ そうだな?」

「は、はい!」

「だから…『こちら』の世界のことを『向こう』から来たお前が気にする必要はない。いいな?」

「…あ…」

「いいな!」

「は…い…」

「そのパラレルワールドとやらの仕組みはよくわからないが…いきなり跳んできたからには、
いきなり戻ることもあるんだろ?」


「はい…たぶん。」

「じゃあ、待とう。お互いに。それしかないからな。」

「そ…うですよね。」

 自然に…記憶を取り戻してくれるよう…祈るしかない!

 たとえ 記憶を戻すためとはいえ…あの過去をもう一度 ほじくり返して
 キョーコの辛そうな顔見るのは オレの方がたまらない!

「2007年6月23日…なら まだ、最上キョーコ…さん…だな。
 呼び方のお望みは?『最上さん』でも『キョーコさん』でも お好きなように…。」


「『キョーコ』でかまいません。他の方の手前もありますし…『向こう』のアイツも ずっと…。」

「じゃあ、そうさせてもらおう。申し訳ないが 交友関係いろいろ 覚えてもらう必要がある。
ホテルに戻ったら 早速データ暗記よろしく。」


「はい!お任せください!そうゆうの 得意です!」

 やっと その眼に力が戻った。

 こうでなきゃな、こいつは。

 …しばらくは これでいくしか…ない。

 頼む。
 自然な流れの中で 取り戻してくれ…その記憶を。

 おだやかで幸せな光に満ちていた
 オレたちの16年間を…!!
  
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