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スパイラル・スキップ・ビート!

「スパイラル・スキップ・ビート!」№42(尚)【『黒龍の夢』第1章①】

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   『黒龍の夢』第1章


「っど、どうして…っ!?」

 二つ並んだ枕の
 赤い布団の寝間の中
 青ざめた絢華の手をつかんで、聡史がにんまり笑う。

「実は、俺は、英吉利(イギリス)に留学したことが あってね」

「…え?」

「この幻惑香を解毒できる薬を知って…おっと!」

 すばやく絢華が繰り出してきた苦無(くない)をよける。

「そんなにあっさり、情報源、殺していいのか?それじゃ、くのいち失格だ。」

「っ!!!」

 苦無を持つ手を きつくつかまれ
 ぐっと 絢華が 男をにらみつける。

「自白作用の香が効かない以上、次の手は 一つしかないはずだ。そうだろ?」

「…正体がばれてるなら…」

 綾華の声の調子が 投げやりになった。

「あなたに 色仕掛けなんぞ 効くはずないわ。それに…。」

「それに?」

「…しのびの里で 烙印押されてるのよ!私!!」

「…は?」

「おまえに、色仕掛けは、絶対、無理だって!絶望的に、才能が無いってっ!!!」

 ぶっ!

「わ、笑ったわね!?ひっ、人が 気にしてることっ!!」

「っわ、悪かった!…つい…!」

「…ばれたからには仕方ないわ!散り際は、心得てるつもりだから…」

 すっと彼女が 左手で髪に手をやる。

 ぱんっ

 即
 聡史が 空いた手で かんざしを弾き飛ばした。

「っ!?」

「毒を仕込んだかんざしで 自害するのもよしてもらおう。俺が、許さない。」

「…捕まえて 逆に 情報 引き出そうっていうの?」

 冷ややかに 絢華が言い放つ。

「おあいにくね。拷問されたって、何一つ言いません。
 我慢強さなら 里でも 一目置かれてたんだから!」


「聞き出すまでもない。」

 男の声は どこまでも余裕たっぷりだ。

「今の時勢に 忍びの者なぞで 俺たち長州藩を探らせようとするのは  徳川幕府しかない…だろ?」

「さあ、どうかしら?」

 鍛え抜かれているのだろう

 この誘導尋問にはひっかからず、絢華は ゆったりほほえんだ。

「沈みかけた泥舟に乗っているようなものだよ?」

「…え?」

「俺はね ほんの数年前まで がっちがちの尊王攘夷派だったんだ。
 外国人なんかに 一歩も神国、日本に立ち入らせてなるものか、と。」


「…??」

「だけど…ひょんなことで 英吉利人と接して 国に留学して つくづく思い知ったんだ。
 いかに この日本が世界の中で 取り残されているのかと。」


 急に熱く語りだす男を 女は、あぜんと見つめている。

「絢華、英吉利では 乗り物が自分で走るんだよ。」

「え?」

「馬や牛が引いたりしない。もちろん、人間もね!それに…!」

「…それに?」

「女性は その身に美しく華やかで動きやすい衣装をまとい 男と腕を組んで優雅に踊る。」

「…きゃ?」

 いきなり立たされて、
 社交ダンスを踊りだした男につき合わされ 彼女は とまどった表情だ。

「君は、俺が身請けする。」

「はぁ!?」

「任務失敗したからには、おめおめと里には帰れないだろ?」

「だ、だからって なんで!」

「俺を見て」

「…!?」

「俺には、夢がある」

「…ゆ…め?」

「ああ。この古いよろいに固められた日本を 近代化させる夢が!」

「き…んだいか?」

「絢華!このままでは、日本は、隣国、清の二の舞!われわれみんな、へたすりゃ外国の奴隷だ!」

「そ、そうならぬよう 幕府のかたがたが 交渉…」

「上の一部が がんばってても 幕府の体質では もうどうしようもないのだ。
 知っているか?『いざ、出陣!』の檄に応えて はせ参じた 諸大名たちの実態を!」


「…」

「みんな長い平和になれて武芸なぞ さびついて…おじけづいて 急いで家督譲ったものだから
 集まってきたのは 子供ばかり。まるで寺子屋のようだったそうだ!」


「…!」

 耳にはしていたらしい
 絢華が 唇をかんで うつむいてしまう。

「俺は、いずれ この国の宰相になる。」

「さい…しょう?」

「国王…この国では 天皇さまをお助けして、国政を動かす立場になるのだ。」

「し、失礼ですが…どれほど 異例のご出世をなさったとはいえ、あなたのご出自…」

「下も下…足軽の出だといいたいのだろ?」

「え、ええ」

「今の日本なら そうだ。俺はいつまでも うだつがあがるまい。だが…」

 からりと
 男が 障子を開ける。

 外には、皓々と輝く月

「新しい国でなら…俺は 黒竜になれる!」

「黒龍?」

「尊き白龍…天子様をお助けしながら 影の王となって、実質、国を治める存在になれるんだ」

「…とほうもない…。」

「そんなばかな男の とほうもない夢に 賭けてみないか?絢華。」

 月明かりに照らされながら 男が悠然と ほほえむ。

「お飾りの血筋だけがとりえのお人形なぞ 俺の野望には不要。」

 すっと 女の腰を抱く。

「俺には、君が必要だ。聡明で強くて誇り高い…。」

「…聡史…さ…ま…」

「…そして…花のように美しい…。」

 ゆっくりと その唇に口付ける。

「君こそ、真の女王に ふさわしい…。」

「…聡史さま…!」

 絢華が、ぎゅっと男の胸にすがりついた。


                   萩の月



「カット!」

 ぱっ

 電光石火のごとき速さで キョーコがヤツから離れる。

 …が ヤツもさるもの
 しっかり 腰を抱いて 離しやしない!

「あ、あの…つ、つるが…」

「敦賀さん!」

 ついに、痺れを切らして声をかけた。

「カットですよ。いいかげん、離してやってくださいませんか?」
 
「…失礼。演技の余韻にひたっていたもので…。」

 いけしゃあしゃあと ヤツが言い放つ。

「ショーちゃん!」

 たたたたたっ

 やっと ヤツの手から解放されたキョーコが まっすぐにオレに向かって走ってきた。

「お疲れ様、キョーコ」

 さっと、その体を抱き寄せる 

「い、いつから 来てたの!?」

「10分ほど前に。撮影邪魔しないように そっと…な。」

 ぎゅっと抱きしめて、ほほにキスをする。

 たちまち キョーコが真っ赤になった。

「だ、だめ。こ、こんな人前で…っ」

「気にしなくていい。この程度…」

「気にしてほしいね。少しは」

 …!

 地を這うような低い暗い声に 思わず振り向いた。

「人目も構わず べたべたするなんて 非常識すぎるんじゃないかな?」

 な
 な
 な
 なに 言ってやがるんだ!つるがぁあぁぁぁー!!

 む、向こうのおまえは
 日ごろ キョーコに 傍の迷惑おかまいなく べたべたべたべたしてやがるくせして!!

 ほほにキスくらい!
 幼稚園児レベルのほほえましさだろうがっ!!



イラスト『萩の月』(作:「十五夜」様)  
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