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スパイラル・スキップ・ビート!

「スパイラル・スキップ・ビート!」№48(尚)

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「すみません…。やりなおし、お願いします。」

 ヘッドフォンを外し、ダメをだす。

 ぴきっ

 目の前のアレンジャー溝口さんのこめかみに青筋が立った。

「イントロ部分の5小節は もっとエッジを効かせて 低音部が浮き上がるよう…」

 かまわず 譜面に朱を入れていく。
 
「…以上、10箇所 修正していただけますでしょうか。」

 姿勢を正して、きっちり頭を下げる。

「…了解…!」

 苦々しい声で 溝口さんが 立ち上がる音がする。

 訂正した譜を いまいましそうに ひっつかんでいく手が 目の前をよぎっていった。

 下げた頭を上げたときには
 もはや 溝口さんは 部屋の外に出てしまっていた。

 相当 頭にきてるらしい。

 無理もない
 この道20年のベテランアレンジャー。

 たかが16のガキに あれこれ言われるのは 不快だろう。

 …とはいえ、
 譲れないものは どうしたって譲れない。

「しょ、尚ー!」

 祥子さんが 情けなさそうな声で訴える。

「あ、アレンジなんて、アレンジャーさんにお任せしておけば いいのよ?
 他の歌手は 誰も そこまで 口出したり…!」

「曲は、オレの分身だ」

「尚…」

「最後まで 見届ける義務がある!」

 権利だって あるはずだ!

 『向こう』でも、絶対 このポリシーだけは 曲げなかった!

 ― こんこんこん ―

 !

「はい?」

 ノックの音にこたえて 立ち上がろうとした祥子さんを制して さっと ドアに向かう。

「キョーコ!」

「ショー…ちゃん…」

 しょんぼりと元気のないキョーコを ぐっと抱きしめる。

「よく 来たな…」

「まずは、控え室に入れてくださいません?」

「あ。ああ、さ、入って」

 島さんの声に 
 あわてて 二人を招き入れる。

「祥子さん、スタッフの皆さんに 飲み物と軽食…」

「ええ。手配してきます」

 祥子さんは さっと立ち上がって さっさと出て行く。

 詳細は 話してないが
 なにやら こみいった事情があると わかってくれたようだ。

「島さんから 聞いたが…松内瑠璃子から いやがらせされたって?」

 打ち合わせどおり
 さしさわりのないほうから さりげなく切りだす。

「う、うん!あ、あのね!でも、向こうにも一理…」

「あんな女 芸能界のガンですわ!不破さん!あなたのお力で 追放してやってくださいな!」

「り、律子さぁーん」

 たいした役者だ この島さんも
 案外 演技でも 食っていけるぞ (黙ってりゃ)美人だし。

「ショ、ショーちゃん!あ、あの人のいうことにも 一理ないでもないの!だ、だから…」

「安心していい。オレに 大手、LMEの人気タレントつぶす力なんかない。」

  あったとしても する気はない。

  『螺旋の森』テーマ売り込んだのも
  『向こうではクラシックを使っていた』と 覚えていたからだ。

  もし、他の音楽家の仕事を奪うようだったら 絶対に そんなことはしなかった。

「あら、ごけんそん。
 あなたさえ『彼女には曲、提供したくない』…って 一言つぶやけば たちまち…」

  ― こここここんっ ―

 突如
 いらだたしいノックが 鳴る。

「…はい?ど…」

 応える途中で 荒々しくドアが開く。

「不破君!この『消えかかる草原の朝もや』って何だ?!指示は、もっと…!」

 いらだたしそうに 入ってきたのは、溝口さん。

「あ、ああ。失礼。お客様…」

「あ!?も、もしかして!」

 キョーコが 突如 立ち上がった。

「アレンジャーの溝口さん!?2年前、ビートルズのナンバー、現代版にアレンジなさった!」

「え?え、ええ…」

 ぼうぜんと 溝口さんが 答える。

 …オレも あぜん…だ。

 どうして
 キョーコが 知ってる?

「ショーちゃんの14歳の誕生日プレゼントに CD買って プレゼントしたんです。
 ビートルズのファンって知ってたから よぉーく 選んで。」


 …うっ!

「そしたら そのCD見たとたん ショーちゃん 怒っちゃって」

「キョ、キョーコ!そ、そんな昔の話…!」

「…それは、また…どうして…?」

「『ビートルズなら何でもいいていうんじゃない!違うだろ!?アレンジャーが!』って」

「…え?」

「で、ショーちゃん 自分の持ってるのと 私が買ったのと 聴き比べさせてくれて…」

「キョ。キョーコっ!」

「…それで?」
 
 焦るオレを制して、溝口さんが先を促す。
 
「私が『同じ曲なのに、全然違う!』っていったら、ショーちゃんが スタッフ一覧見せてくれて」

 キョーコは オレの窮状も知らず にこにこ溝口さんに語っている。

「『オレは、同じ曲なら、このアレンジャーさんの選んで買ってるんだ』…って ずっらーと
 いままでのCDのパンフレット並べてくれたから しっかり覚えたんです!」


「…へ…え…」

「結局、あの後 溝口さんアレンジのCDを買い直して プレゼントしなおしたから よけいに…!」

「…そう…それは、…ありがとう…」

 ずずずん!

 改めて
 過去のオレの非道ぶり さらされて落ち込む。

「信じられませんわ。不破さんって昔は かなり、暴君だったんですね。」

 うっ
 
「中学2年生にとって CD1枚は ほぼ一月分のおこづかいでしょうに…かわいそうな京子ちゃん!」
 
 容赦なく
 島さんが 傷口に 唐辛子を ごしごし なすりこむ!

「そんなこと!昔から、ショーちゃんは 本物志向でプロ意識が高かっただけだもの!」

「キョ、キョーコ…」

 それでも
 オレを 必死にかばう キョーコが いとおしい!

「そんなあこがれのアレンジャーさんと 一緒にお仕事させていただいてるなんて!
 ショーちゃん!よかった!すごく、よかったね!!」


「ああ、実はオレも だめもとで 頼んでみたんだが…。幸い ひき受けてくださ…」

「…失礼する」

 唐突に 溝口さんが
 きびすをかえして ドアに向かう。

「あ。な、なにか オレに ご用が おありだったんじゃ…」

「いや。なんでもない。気にしないで。」

「?は、はぁ…」

「お互い ベストな1枚にしよう!不破君」

「あ、ありがとうございます」

 きびきびした足取りで 溝口さんは出て行った。

 ???

 なんだったんだ?いったい!
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