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スパイラル・スキップ・ビート!

「スパイラル・スキップ・ビート!!」№78(尚)

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「ショ…、あ、あなた!ほら、かわいい!」

 今日の設定 ギリギリで思い出して
 オレの名前言いかけたキョーコが 真っ赤な顔で言い直す。

 胸の中に
 なんとも ほわっとしたものが沸いてきて面はゆい。

「ああ、おまえに よく似合いそうな色だ」

 役者じゃあないが
 こんな設定なら 大歓迎

 ノリノリで 夫役を演じる

 キョーコが今手に取ってるのは 京紅

 蛤の貝殻に
 紅花からとった染料で口紅に仕立てたものを塗り込めている

 貝殻の表面は 金地に桜の絵が描かれている

「おきれいな若奥様には よぉ お似合いですわぁ」

 店の女主人が 愛想良く声をかけてきた。

「いれもんのはまぐりは 夫婦円満のお守りですし 持ってるだけで縁起がよろしおすえ」

 俺たち二人を ほほえましそうに見ながら言う

 ねらい通り 若夫婦と見てくれたようだ

「紅筆か指を水で濡らして ちょっとずつ溶かしながら塗るんですわ、どうぞ お試しやす」

 てきぱき サンプルの紅と紅筆 水を入れた小鉢を差し出す

「あ、ありがとうございます!」

 おずおずと キョーコが紅筆に手を伸ばす

 …のを やんわり止めた。

「オレがやる」

「え?」

 小指を小鉢の水にひたして紅を溶く。

 他の誰が 触れたか分からない筆で キョーコの唇をなぞるのは なんとも気分が悪い

 …かと 言って キョーコの指を 紅で汚すのもイヤだ。

「ほら」

「う、うん」

 キョーコが目を閉じて あごを少し上向きに上げた

 ちょん
 唇の真ん中に 軽く紅を載せる

 舞妓・稽古の紅は おちょぼ型
 彼女たちなら これだけですませてもいいのだが
  
 小指でぼかしながら 両端にのばす

「いいぞ、目を開けても」

 ぱっと 目を開けたキョーコが すぐに鏡をのぞいた
 
「わぁ きれいな色!」

「…ああ…」

 キョーコがつけると 一段と紅があでやかだ

「では、これを 紅筆もつけて…」

 袂に入れてた懐紙で指ぬぐいながら 改めて女主人に注文した

「…へ、へぇ お、おおきに!」

 なぜか 真っ赤になって へどもどしながら 包んでくれた

 ???

「お、おおきにどした!」

 店先まで出て お辞儀をして見送ってくれる。

 どっちゃり

 ん!?

 いつのまにか
 店の前には 大勢の人だかりができていた!

 まっ
 まさか!

 オレたちの正体!

 キョーコも 息を飲んでひしっとオレの腕にすがりついてきた

 …が
 人だかりは ささっと分かれ オレたちに道を開けてくれる。

 ?

 不思議には思ったが ぐずぐずしてたら まずい。

 さりげなさを装って 店を離れた

 …とたん

 どどどどどっ
 なだれを打って 人だかりが店に駆け込む音がした
 
「すみません!紅ください!」

「わたしにもぉー!!」

「こっちにも 一つくれ!!」

 わいのわいの

 ?????

「あ、あそこって 実は 人気のあるお店だったのね。」

「あ、ああ…」

 質のいい紅を置いてはいるが その分高い。
 観光客用の土産には 敷居が高いらしくて さっきまで がらんとしてたのに…。

「運が良かったわね!たまたま すいてるときに お買い物できて!」

「まったくだ」

「…わかってないなぁ…」

 いきなり
 背後から 違う声がわりこんできた

 ぎょっとして ふりむく。

「あなたがたが あんまり絵になってるから 吸い寄せられちゃったんですよ 
道行く人、みんな…ね」

「久永さん!」

 あちらの世界では
 オレの曲のBGVを一手に引き受けてる名カメラマン!

 …に やがては なるはずの男…。

「ま、まぁ ぐ、偶然ですね」

 …キョーコ! 

 その
 疑うこと知らない性格 もう少し どうにかしろ!!

「い、いえ、すみません…実は 追っかけさせていただいてました。
 どうしても お二人に すっごく 惹きつけられてしまって…」

 がば

 いきなり
 久永氏が その場に座り込んで頭を下げた

「ひ、久永さん!?」

「お願いします!どうか お二人 撮らせてください!」

 頭を地面にこすりつけたまま 必死に叫んでる

「こんなに 人を撮りたいと思ったの 生まれて初めてなんです!お願いですから!!」

sakura15.jpg



「…で…撮らせてやることになったんか…。」

「…とても 断れる状況じゃ なかったんでね」

 しかし 意外だった

 久永一紀

 向こうで 出逢ったのは オレが20歳の頃

 その頃には
 いくつものコンクールに入賞して有名になり 傲慢さが鼻につくほどだった

「不破尚だかなんだかしらんが、俺の写真に人間はいらない、
 風景だけなら引き受けてやってもいい」

 その頃には
 オレだって世界に通用するシンガーだったのに!

 その言いぐさに かちんと来て 初対面で大げんか

「ふん!動かないモノは撮れても 動く人間は無理ってか!
 つまり アンタ『へたっくそ』なんだな!」


「し、失礼だろう!お、俺は 今まで いくつもの…!」

「苦手なジャンルから逃げるようなヤツが獲れる賞なら、ろくなもんじゃないさ」

「に、苦手じゃない!ただ、俺は人間が 嫌いな…」

「おーおー。言い訳だけは、ほんと 大賞モノだな!それだけは、認めてやる!」

「…撮ってやる!ああ!!ばしばしアンタ撮ってやるよ!
 そのうえで、他のヤツと見比べてみやがれ!!」

 …でまあ
 「いろいろ」あって
 (ま、まぁ オレも 当時は 生意気盛りの若造だったし…!)

 久永とは
 一番の飲み友達になった

 「不破尚専属カメラマン」と揶揄されるほど
 オレのポートレート 一手に引き受けてくれるようになった。
 
 …。

 もしかして…まずかったか…?

 この時期
 彼は、絶対 人物なんか 撮らなかったはず!

 出世の糸口になったコンテスト入賞作も「古都の春風」だった!!

 彼の運命変えちゃダメだと思って
 昼間は けんもほろろに 追い払ったっていうのに!

「それにしてもまぁ 宿にまで ひっついてくるやなんて…」

 おふくろが あきれたように 庭をみやる

 夜桜の下
 今は キョーコが一人で 被写体になっていた。

 今 着ている着物で 6着目
 髪型も 少しずつ 変えている。
  
 桜の花びらが はらりとキョーコのほほのあたりをかすめる

 …花の妖精のようだ…。

「いいですよ!目線は桜に!すごい!いい表情です!」

 久永は 夢中でシャッターを切っている

 まぁ…いい

 本物なら
 絶対 世に現れてくる

 キョーコが 結局 女優として名を成そうとしているのがいい例だ

 どんなに変えようとしても 変わらないモノはあるんだ

「すみません!ご主人 入っていただけますか!」

「…え、ええ…」

 溜息押し殺して立ち上がる

「がんばってな、松」

「おふくろ、うれしそうだな。」
   
「そら、もう!キョーコちゃんの可愛い着物姿 たんと見られるんやもの!」

 …それは…確かに 眼福だが…。

「ほら、松!はよぉ 横に行って!キョーコちゃんの引き立て役になってきなはれ!」

 おふくろぉおおお!!

 それが
 仮にも 息子に向かって言う言葉か!?

 血がつながってるのは オレのほうだろーが!!

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