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№30(side:尚)

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「パパ!聞いてるの!?」

「…ああ…。」

「ホントに 心当たりないの?」

「…つかれているんだろう…慣れない外国だし…。」

「…なんだか…パパまでヘン…。」

  …まずい!
 奏音の声が 不審の色を帯びてきた。

「…オレも ちょっと つかれてるだけだ!」

「夫婦げんか?…な わけないわよね!パパ なんでもママの言いなりだし!」

 い、言いなり!?

「おまえな!」

「あら、違う?いつでも、私や亮のことは ほったらかしてでも、ママべったりのくせに!」

「っ!」

 いっ…言い返せないのが 悔しい!
 父親の権威も なにもあったもんじゃない!!

「わかった!…また やたら やきもち焼いて ママを 困らせたんでしょう!?」

「…なっ!」

「あのね パパ!娘から見たって ママは 容姿も性格も 満点の!
すこぶる付きの魅力的な女性なんだから!いちいち 焼いてたらキリがないのよ!!」

 
「奏音、おまえな!」

 ― こんこんこん ―

 ノックが響いた。

「お客様だ、いったん切るぞ。」

「あ、ごめん。じゃ、また 後でね!」

 即 切れた。

 ホント 頭のいいヤツだ。我が娘ながら…  

 たった一度の電話で『母親』の異変 悟りやがって!

「どうぞ」

 内心のいらだちは隠して 入室を促す。

「…失礼します。」

 呼び出した時間通り
 ソイツは 入ってきた。

 ノエラ・ツルガーネワ…と
 名前を偽って、キョーコに近付いてきた…不審な女が!

op.jpg


「も、申し訳なかった!…そういう事情とは…。」

 冷や汗が流れる…。
 女が 目の前で泣くのを見るのは 苦手だ…。

 しかも、自分のせいとあっては…!

「さぞ…なりふりかまわない みっともない女と お思いでしょうね…。」

 ノエラ嬢…(本名は ラーニャ・ソムヤンカと言うそうだが…。)が、か細い声でつぶやく。

「いや…そんな…!」

 よくあることだ、その程度のこと。
 
 ノーマ・ジーンという 内気で繊細な女性は

 体型を強調する服装と派手なメイク
 色っぽい演技にかえてから売れるようになった。

「アラブに対する アメリカの憎悪は根強くて…元の黒髪・黒眼 いかにもアラブ系の
名前では…とうてい…」

「わかった!それ以上 言わなくていい。」

 自由と平等の国のはずだが…そんなことが まだあるのか…。

「失礼なことして 本当に 申し訳ない。」

「…いえ。嘘をついてたのは 事実ですもの…。」

「そう言っていただけると…だが 本当に悪かった。おわびと言ってはなんだが…」

「は?」

「スクリーンデビューする気なら、その発音のクセは、まずい。
オレでさえ、『違う』とわかるんだ。プロの耳には、一発だぞ?」


「あ…。」

「言語矯正士、紹介するから…。デビュー前に 標準アクセントに直すんだな。」

「あ、あの…。」

「費用は 今回のお詫びに こちらで持たせて頂く。何回かかっても かまわないから
しっかり直るまで 通うといい。」


「Mr…。」

「あなたとは、数回 お話しただけだが…」

 早速、矯正士のオフィスの番号を押す。

「聡明な方と お見受けする。きっと、成功なさるだろう。そのための基礎固めだ。」 

「Hello?」

 数回のコールのあと、オレも以前お世話になった先生が電話口に出る。

 事情を話して、快諾を得た後、即、ノエラ嬢に 携帯電話を手渡した。

「第1回目の予約の日時…都合のいい日を教えてほしいそうだ。」

「…は…い…。」

 おずおずと 手を伸ばした ノエラ嬢が 携帯電話を受け取り、日付を打ち合わせている。

 窓の外に目をやれば、街路樹に陽射しがきらめいている。

 『キョーコ』なら
 こんな日は 弁当を作って 公園に出かけようって言うだろう…に。

 『キョーコ』なら!

「Mr.不破」

 話を終えたらしいノエラ嬢が、携帯電話を返してきた。

「…ありがとうございます…。お気遣い…を。」

「非礼のお詫びとしては、安すぎるくらいだ。そちらこそ お気遣いなく。」

「…あ、あのっ!」

「なにか?」

「…いえ…。で、では、失礼させて…いただきます。」

「ああ。お気を付けて。今後もキョーコと仲良くしてやってください。」

「え、ええ!も、もちろん 光栄ですわ!」
    
 やけに あたふたと ノエラ嬢は退出した。

 さて…

 奏音に電話をかけ直さないと…。

 だが
 なんと言えばいいんだ。

 おまえ達の母親は
 心だけが 17歳になってしまって

 オレと結婚したことも
 おまえ達を産んで育てたことさえ
 忘れてしまっているんだ…なんて。

 言えるわけがない!絶対に!!

 いったいどうして こんなことになったんだ!?

 どうして!

重く暗く沈んでいく心とは裏腹に
 窓の外 初夏の光だけが やたらに明るかった。

 
  イラスト「Kyrie」(「Heaven’s Garden」様より)
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