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№168(『闇に咲く花』【4】(side:忠志)

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  女子高生名探偵 セリカ   闇に咲く花   【1章② side:忠志】  

       監督   緒方 啓文

       吉野せりか…京子

       北條 忠志…敦賀 蓮
 
       北條 沙織…琴南奏江 

       北條 寛志…貴島秀人




 翠青泉繁露濯得
 得紅雪甘漿正香
 滴滴人使光有若
 剖来神骨涼一嚼



 カッ コーン

 ししおどしの音が 静かな日本庭園に響く

 じーっと 目の前の半紙を見つめるせりか嬢に 全員の目が集中している

「韻も 踏んでなければ 平仄も合ってない…まさしく 杜撰(ずさん)な詩ですね…」

 いん? ひょうそく??

 思わず 眼で 沙織を見る

 『私に聞かないでよ!』険しい眼で 睨み返された。

「…でも…この字の並び どこかで見たこと…」

 眼を閉じて 思考の姿勢に入った彼女を 全員が固唾を呑んで見守る。

 なぜならば
 俺たち全員 その漢詩を見た瞬間 ギブアップしたからだ

「沙織!おまえ、上級生だろう!現役高校生だろう!漢詩 習ってるんだろう!?」

「そういう兄さんは 現役 大学院生でしょう!?」

「ジャンルが 違う!」

「センター試験 国語あったでしょう!?」

「広く浅いセンター試験で こんな難解な問題 でるもんか!」

 などという
 醜く あさましい 言い合いの後

 『せりかさんに お任せしよう』

 北條家全体の意思が 暗黙のうちに一致した

 母や 兄は 最初から 丸投げだったし
 義姉は 必死に考えていたが どうにも お手上げだったらしい

「わかりました!」

「え!?」

「これ 元あった漢詩を ばらばらにして 書いてるだけで…元は こうです」

 濯得青泉翠有光
 剖来紅雪正吹香
 甘漿滴滴若繁露
 一嚼使人神骨涼


 さらさらっと 広告の裏に 彼女が書き付けてくれる。

 ???
 どっちにしろ わからないのは 変わりない!

「で?この漢詩!どういう意味か 教えてくれるかな?」

「スイカは 素敵な果物だ」

「…は?」

「ぶっちゃけていうと そう書いてあるんです。

 忠実に読めば、

 『青泉 洗い得て 翠 光 あり。
  剖(さ)きくれば 紅雪 正に香を吹く。
  甘漿(かんしょう)滴々 繁露のごとし。
  一嚼(いっしゃく)人をして 神骨涼しからしむ。』

 青い泉に洗われて つやつや 緑色に光る。
さけば 中は 赤い雪のよう 芳香を放つ。
 甘い汁が ぽたぽた 露のようにしたたる。
  かめば、身も心も たちまち涼やか。―って 」


「なんか 急に スイカが 食べたくなってきたなぁ」

「いかにも おいしそうな詩よねぇ…」

「…とはいえ」

 寛志兄さんが 顔をしかめる

「家宝の中身が、『スイカは、うまい』って漢詩?
それは いくらなんでも…」

「本来なら この『青』は、『清』。『若』は『如』なんですが…」

「…どうして わかるの?」

「この詩『西瓜』の原作 知ってるんです」

「へぇ?誰の作品?」

「大正天皇」

「えぇー!?」

「即位されて、3年目の作品です」

「大正天皇が こんな難しい漢詩を!?」

「歴代天皇の中で 最も 多くの漢詩 残されてるんですよ。
 その数 22年間で なんと1367!
 1週間 1首のハイペースで 作ってらっしゃったんです!」


「ええと でも 大正天皇って…あの…」

「議会の壇上で 勅書 くるくる丸めて のぞきこんでみたっていう…」

「影でささやかれてるような 知的障害が 本当にあったのなら
 こんな漢詩 絶対 書けませんから!」


「おつきの人間が作って 天皇の作に見せかけたとか」

「だとしたら そこまで ハイペースで作る必要は ないでしょう?」

「な、なるほど…」

「…えーと じゃ この歌は 恐れ多くも 大正天皇さまからの大切な拝領品で…
 だから 大事にしてただけなのかしら!?」

 母が ぼうぜんとして 漢詩を見詰めてる

「でも それなら こんなに ばらばらにすることは なかったと思うんです」

「そんなの 写し間違えただけじゃない?」

「いくらなんでも…こんなに ひどい 間違いは…」

 じーっと 彼女が 漢詩をにらみつける。

 ほどなく
 寛志兄さんに 視線を向けて 真摯な表情で問いかけた。

「お辛いかもしれませんが…お父さまの最期のご様子…詳しく お聞かせ願えませんか?」

「…ええ…」

 兄も真剣な顔で ずいっと彼女のそばによる。

「失礼…実地に再現させていただきますよ」

 言うが早いか せりかさんの手を握る。

 彼女の左手の五指に 自分の五指をからめて ぐっと引きながら

「こうやって 俺の手を 必死に引っ張りながら…『蔵の…を 見ろ!』…と」

「『何を』…かは…」

「俺も 必死に 耳寄せて聞こうとしましたが…」

「唇の動きは…?」

「…残念ながら…苦しそうに パクパクしてるようにしか見えませんでした」

「…うーん…」

 考え込んでしまった彼女に おずおず 提案する。

「あの…せりかさん、そろそろ 兄と手をほどいたら…?」

「は?…ああ!」

 あわてて せりか嬢が 兄貴の手をふりほどく。

「す、すみません!私ったら!!」

「いえいえ 可愛いお嬢さんの手を握れるなんて 役得でしたよ」

 寛志兄さんは 機嫌よく ほほ赤らめる彼女を見つめてる。

 …。

 あー
 忘れてた

 十分 現役だった この人

 そして
 やたら ストライクゾーンの広い人だったっけ!

 


 
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