スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←№168(『闇に咲く花』【4】(side:忠志) →№170 『闇に咲く花』【6】(side:沙織)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



総もくじ  3kaku_s_L.png アナザー・スキップ・スキップ・ビート!
もくじ  3kaku_s_L.png メッセージ
【№168(『闇に咲く花』【4】(side:忠志)】へ  【№170 『闇に咲く花』【6】(side:沙織)】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

スパイラル・スキップ・ビート!

№169 『闇に咲く花』【5】(side:セリカ)

 ←№168(『闇に咲く花』【4】(side:忠志) →№170 『闇に咲く花』【6】(side:沙織)
  女子高生名探偵 セリカ  闇に咲く花 【5】(side:セリカ)
  

       監督   緒方 啓文

       吉野せりか…京子

       北條 忠志…敦賀 蓮
 
       北條 沙織…琴南奏江 

       北條 寛志…貴島秀人


「…で!?その漢詩には どんな意味があるのかしら!?」

 孝子さんが とがった声で ずいっと ご主人と私の間に割り込んできた。

 すっごく 怖い眼で にらみつけてくる。

「…の前に 確認したいのですが…」

 くるんと 北條夫人(先輩のお母様)に 向き直る。

「こちらのひいお祖父様って 皇室と 何かかかわりが おありで?」

「それは…元華族ですから…。
 鹿鳴館時代には お言葉をいただいたこともあったと思いますが…。
 私が 嫁いできたときには もう かなりなご高齢で…」

「どうして また そんなことを?」

「大正天皇の漢詩って…一部研究者以外には そんなに流布してるわけではないんです。
 現に 皆さん 大正天皇が漢詩を作られるってことさえ ご存じなかったでしょう?」


「ま、まぁ それは 確かに」

「…なのに…それを 利用して 暗号文に仕立てるなんて…。
 大正天皇の御作 暗記できるほど 熟知してた証拠です」


「暗号…?!」

「ええ これを 解けば 家宝のある場所が わかる…暗号です」

 周囲が 色めき立つのがわかる。

「あくまで想像ですが…」

「…え?」
 
「その家宝…『大正天皇にかかわる何か』だと 思います」

「だ、だから それって 何なの!?」

「やだー!そんなの わかるわけないじゃないですか!」

「…はっ!?」

「ここから先は 皆様の知恵の見せ所ですよ!
 私は しょせん 赤の他人なんですから」


 かぁっ

 孝子さんの顔が 朱に染まる。

「あ、あなた!それ いやみなの!?」

「まぁまぁ 義姉さん」

 忠志さんが 穏やかに 孝子さんを なだめる

「ひと休みしようよ。俺 お腹ペコペコなんだ」

「ああ そろそろ 直子さんが 夕餉のしたく終えてるころだろう、運ばせよう」

「あ、あなた!夕飯の支度なら 私が もうすませて 家に!」

「じゃあ 君だけは 食べに戻ったらいい、向こうの別宅に」

「…っ!」

 ……
 やれやれ…

「孝子さん あなたが作ったお料理も こちらに運んできては いかがですか?」

「…え?」

「この暑さじゃ 痛むの早いですし せっかくのお料理 無駄にしては もったいないお化けがでます!」

「まぁ!お若いのに 古風な考え方なさるのね!」

「そうなの、お母様!この子 何かといえば 『もったいない。もったいない』なのよ!」

「いいことよ、沙織も少しは見習いなさい!」

「はぁーい」

「じゃあ 私 お料理はこぶの お手伝いします!孝子さん、ご一緒に!」

「わ、わたしっ」

「俺が ごいっしょしますよ せりかさん」

 ためらう孝子さんを尻目に さっと 寛志さんが 立ち上がった。

「食堂に並べてるんだろう?孝子」

「わ、私が 行きます!」
 
 あせったように 孝子さんが 立ち上がった。


 孝子さんに連れられて来た車庫
 その一角に 銀色に輝く車が止まってる

「…っ!?」

「あーら 見たことないの?ソーラーカー」

 孝子さんが リモコンでドアを開ける。

「あ、その…ニュースなんかでは…」

「ふふん、そうでしょうね!安くなったとはいえ 1台 2千万!庶民には 高嶺の花よね!」

「は、はぁ そう…ですね」

 促されるままに 助手席に乗り込み ベルトボタンを押す
 右側の穴から しゅっと ベルトが飛び出し かちっと 左の穴に飛び込んでいく

「…あら?乗ったことあったの?たいていの人 それで とまどうのに…」

「し、CMで…」

「ああ なるほど。若いだけあって 順応性あるのね」

 言いながら すっと 車を発信させる。
 
 太陽光をエネルギー源にする車
 まったく音をたてず すべるように静かに 路面を走っていく

「あ、あの?別宅に行くんじゃ」

「だから 向かってるじゃない」

「…車で?」

「ここから 私たちの住んでる別館まで 1kmあるの」

「…さようでございますか」

 あー やだやだ
 これだから 限度のない 金持ちの家ってのは!



「広い敷地ですね」

「……ええ」

「それに 見渡す限り なんて すてきな和風庭園!」

「………まぁね」
 
 う~
 気まずい!

 覚悟はしてたけど 孝子さん さっきから つんつんつんつんっ サボテンもーどだ。

「ねぇ 孝子さん?」

「…なにかしら」

「お義父さまの最期…あなたも 立ち会われたのでしょう?」

「当然でしょう?!私は 長男の嫁なんですから!!」

「そのときのご様子…あなたから見た目で 忠実に再現していただけませんか?」

「さっき 主人が 言ってたじゃないの!」

「『あなたから』見て…です!」

「…え?」

「肉親は そういう場合 気が動転して 微細なことは 覚えていられません。
 あの場で 一番 信用のおける証人は 孝子さん あなたです!」


「っ!」

 何か言い返したかったようだけど
 数秒後 孝子さんは 根負けしたように ため息をついた。

「2月の…寒い夜だったわ。私たちの邸に 本家から 急な呼び出しがかかって…。
 急いで駆けつけたときは…お義父さまは 苦しそうに 胸を 押さえて 居間に倒れていらっしゃた」

「その場に居合わせたのは?」

「お義母さまは それはもう 取り乱してらして 沙織さんは 必死に心肺蘇生なさってて…」

「忠志さんは?」

「研究室にいらしたので…私たちの後から かけつけてこられたわ」

「…研究室?」

「本家をはさんで 私たちの別館とは 反対の位置にある小さな館よ。
 本家からは、3km位 離れてるの」

「…サヨウデゴザイマスカ…」

 はぁ…。
 なんかもう なにも言いたくなくなってきた!

「どろだらけの発掘品とか持ち込んで 修復したり 復元したりする作業場もいるからと
 敷地の端っこに 建ててるのよ。5LDK程度の狭い建物だけど」

「…はぁ…」

 ったく!
 金持ちって…これだから!

 やがて 寛志さんご一家のお住まいという別宅に到着した。

 本家とは がらりと違った 純洋風 
 周囲の和風庭園から 完全に 浮いている

「お義父さまは 主人の手を握って 必死に訴えてらっしゃるのだけど…あうあう…と お口が動いてるのに
 お声が出ないらしくて とても 悲痛なお顔をなさってらした…」

「『蔵の…を…見ろ』は、聞こえたんですか?」

「私には 聞こえなかったわ。主人は 口元に 耳寄せてたから かろうじて聞き取れてたようだけど」

 言いながら 腰にぶらさげた鍵で 孝子さんが勝手口を開けた。

 食堂について 並べられてた料理を タッパーに詰め替えていく。

 そこにあった 湯飲みやお茶碗手に取り 改めて 孝子さんに問う。

「この大きなお湯のみ(◎)を お義父さまとしますね」

 テーブルの真ん中に お湯のみを置く。

 孝子さんが 何が始まるのか という 怪訝な眼で見ている。

「孝子さんが この華やかな蘭のお茶碗(●)、ご主人の寛志さんは、この松の椀(○)
 忠志さんが、この竹の椀(△)、沙織さんが梅の椀(◆)、沙織さんのお母様が、小さなお湯のみ(■)」


 言いながら 茶碗と湯のみを置いていく。

「位置関係 再現してくださいません?」

 ふぅ
 めんどくさそうなため息つきながら 孝子さんが 茶碗や湯のみを並べる。

「この角皿(□)がお義父様の胴体。お箸(=)を脚とするわね」

 そういいながら こんな図を 作ってくれた。

                 寛志 孝子
                  ○ ●             
                  ◎□=(義父)           △忠志
                  ■ ◆
                 義母 沙織

「…忠志さんだけ 少し遠いですね」

「本当に ぎりぎりで…。
 忠志さんが、やっと入り口に着いたところで…お義父様、お亡くなりになったのよ」
    
「そうでしたか…お気の毒に」

「ええ 日ごろ すごくお元気だったから…私たち こんなに早く お別れが来るなんて夢にも…。
 きっと お義父さまだって 予想も なさってなかったんでしょう」

 ふぅ
 深々と 孝子さんがため息をつく

「きっと…寛志さんに伝わらなかったことわかって…絶望されたに違いないの…。
 ものすごく 悲しいお顔で…逝ってしまわれたわ。
 『ああ、こんなことなら もっと早く伝えて置けばよかった』って 後悔されたんだわ…」

「…それで…早く 見つけてあげたかったんですよね?」

「できたら ご霊前にお供えして…安心させてさし上げたかったのに…」

 震える唇を かみ締めている孝子さん 
 
「…でも 見つからないし…家の人たち みんなから 泥棒猫みたいに言われるし…」

 今にも 泣きそうなのを 必死にこらえてる

「やっぱり 思ったとおりでした!」

「…え?」

「孝子さんって 悪い人じゃないって 予測あたってました!」

「は?」

「そりゃ わがままだし 自分勝手だし 口悪いし 性格には問題ありますが 悪人じゃないですよね!」

「なっ!?」

「感情が素通しで表に出すぎですもの。孝子さんには 悪いことはできません」

「あ、あなた…なに」

「本当の悪人っていうのはですね」

 にっこり ほほえみかける。

「いかにも人畜無害ですっていう無邪気な顔して しれっと うそつける人間のことをいうんです」

「奇遇ねぇ!私 なんだか すごく身近に 居る気がするわ…そういう人間が…!」

「あーら そうなんですかぁ?」

「えーえ!ごく間近に!私のすぐ目の前にね!!」

 ???
 誰のことだろう…?
スポンサーサイト



総もくじ  3kaku_s_L.png アナザー・スキップ・スキップ・ビート!
もくじ  3kaku_s_L.png メッセージ
【№168(『闇に咲く花』【4】(side:忠志)】へ  【№170 『闇に咲く花』【6】(side:沙織)】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。