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降らずの雨

初冬(side;S) 【降らずの雨 №5】

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「最上さん 気持ちは分かるけど…君のせいじゃないんだよ。」

「敦賀さん…」

「天災だったんだ。君が悪いんじゃない。」

「で、でも!ショーの目!」

「確かに…お気の毒だ…。でも、なにも、生涯見えない訳じゃない。
角膜の順番さえめぐってくれば 治る。時間の問題だよ。」


 優しく諭すように…低い声が続く…。

「こんなにやつれて…食事もほとんどとらないって…琴南さんが すごく気に病んでた…。」

 …!

 やつ…?

「京子ちゃん!もっと食べなあかんやないの!」

「す、すみません。うっかり…おやつ食べすぎて…おなかいっぱいで…。」

「…ほんまか?ほな おにぎりにしとくさかい お腹すいたら 夜中でも 遠慮のう食べてや。」

「はい…。すみません…。」

 昼間の…おふくろとキョーコの会話が よみがえった!

「災害特番も…だんだん短縮してきて…そろそろ仕事も再開される…明日には 
東京に帰らないといけない。」


「は、はい。敦賀さんには なにかと お世話に…。」

「一緒に帰ろう。最上さん!」

「わ、わたし…ショーの看護!」

「彼なら大丈夫だよ。むしろ、君の受験勉強に差し支えること気にしてるらしいじゃないか。」

「…ええ…すごく…。」

「彼のこと思うなら、不破君の気持ちに応えるべきだよ。ね?帰ろう。」

「…敦賀さん…」

 京子の声が くぐもって…ヤツが 自分の胸の中に抱きしめたのだと分かった…。
 
 行ってしまう…?

 行ってしまう…のか?!

「私…まだ 帰れません…。」

「最上さん!?」

「ちゃんと受験します!必ず、合格します!でないと、ショーを もっと苦しめるから!」

「…だったら!」

「ここでも ちゃんと勉強できます。ショーのそば離れて、今頃ショーはどうしているのか…
なんて思いながら東京で過ごすより ずっと集中できます!」


「…最上さん…」

「ごめんなさい!でも!今、ショーのそば 離れるのは 絶対 いやなんです!私が!」

 病院の片隅…人気のない夜の待合室
 ヤツは まだなにやかやと キョーコを説得している…
 その声を背に そっと その場を立ち去った。

 杖の底にゴムが仕込まれているのを これほどありがたいと思ったことはない。

 あれほど…気にするなと 言い聞かせたのに…
 キョーコは まだ…あんなに…。

 こっそり病室に戻ってきた。

 もはや なじんだベッドに体を横たえて小半時ほどたった頃
 控えめなノックの後、かちゃりとドアが開く。

 かすかな鈴蘭の香り…。

「キョーコ…。」

「起こしちゃった?ごめんね。」

 その声が 涙に濡れている。
 何も言わず 右手を差し出した。

 すぐに キョーコが 近寄る気配がする。 
 
「なぁに?何か…持ってくる…?」

 ぐっとキョーコの体を胸の中に抱き込んだ。

「ショ、ショー!?」

「行く…のか?」

「…え?」

「あいつと…戻るのか?東京へ…。」

 行ってしまう…。

 行ってしまったら…もう…戻っては来ない…。

 あいつが…離さない!もはや 二度と…!!

「戻らない!私!私のせいでこんなことになったショーを置いて帰れない!」

「キョーコ…」

「ほ、本来なら…私が その怪我してるはず…ううん 命さえなかったかも…。」

 ぽろぽろぽろぽろ
 キョーコの熱い涙が 俺の胸をぬらした。

「もう…泣くな…キョーコ」

 キョーコを抱きしめてささやいた。

「これが おまえじゃなくてよかった。」

「ショ、ショー!」

「オレには 耳と喉があればいい。
 でも、女優のお前はそうはいかない。」


「そ、そんな!」

「声さえ出ればいい。こんなのハンデでも なんでもないさ。
 もともと楽譜にしない曲作り続けてたからな。ずっと…。」


「だ、だって…。」

「治らない訳じゃない。角膜の順番さえくれば 治るんだ。
 気に病む必要はない。」


 抱きしめたやわらかい体から鈴蘭のかすかな香りがした。
 
「な、治るまで そばにいるから!私!」

「…何年かかるか わからないんだ…そんなこと…」

「何年でも!治るまで 私が あなたの眼になる!」

 すがってきた華奢な体がふるえていた。
 オレの胸に その熱い涙がしみこんだ。

「…治っても…。」

「…え?」

「ずっと…そばにいてほしい。」

 一生…離したくない!

 離したら もう…!
 
 あいつが…あいつが 連れ去ってしまう!今度こそ!

「愛している キョーコ!いてくれ!俺の側に!一生!」

「…ショー…!」

「…オレは絶対、スーパースターになる!必ず お前を幸せにする!誓う!!」

 もう二度と…お前を哀しませない!傷つけない!!絶対に!!

「とことん…尽くす…!今度こそ、オレが!」

 動かせる方の右腕一本で 必死に抱きしめる。

「オレには、生涯…お前だけだ!」

 窓の外にかすかな木枯らしの音が鳴る。
 胸の中に抱きしめた華奢な体が かすかに震えていた。
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