スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←霜夜(『東京ミシュラン』[2])【降らずの雨 №7】 →特別番組(『東京ミシュラン』[4])【降らずの雨 №9】
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



総もくじ  3kaku_s_L.png アナザー・スキップ・スキップ・ビート!
もくじ  3kaku_s_L.png メッセージ
【霜夜(『東京ミシュラン』[2])【降らずの雨 №7】】へ  【特別番組(『東京ミシュラン』[4])【降らずの雨 №9】】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

「アナザー・スキップ・スキップ・ビート!」
降らずの雨

特別番組(『東京ミシュラン』[3])【降らずの雨 №8】

 ←霜夜(『東京ミシュラン』[2])【降らずの雨 №7】 →特別番組(『東京ミシュラン』[4])【降らずの雨 №9】
 都会の雑踏に 紛れそうな
 ちっぽけな ひとつの点でも
 手をつなげば 線になる
 大きな円にだって なれるんだ

ミッション!この世に来た使命!
シミュレート!不可能な人生!!
ランニング!見えないゴールに向かえ!



「きゃぁぁぁぁ~!」「純ー!」

 華やかな大勢のファンの歓声。
 ビートの効いたリズムに乗って、コンサート会場の喧噪は ますますヒートアップしていく。

「お疲れ様!純!」「よかったよ!今夜も大成功だね!」

 マネージャーやスタッフのねぎらいの言葉に

「ありがとうございました。」

 やや しゃがれ気味な声で答えながら 楽屋に向かう足音。
 オレが演じてるのは、実生活そのままに アイドル歌手。役名 設楽(しだら)純。

 かちゃりと 楽屋のドアに鍵をさしこんだ瞬間
 それが空回りするのに気づいた男は、ばぁんと勢いよくドアを開けた。

「…そうぞうしい 開け方しないでよ。」

「沙紀!」

「ドア!!」

「…あ、ああ!」

 あわてふためいた足音と共に、ドアの閉まる音、鍵のかかる音。

「…沙紀…!」

「…勘違いしないでね!わ、私は まだ…許したわけじゃ…!」

 キョーコ演じる沙紀の語尾が 乱れてとぎれてしまった。

 (確か…ここで胸の中に ぎゅっとだきしめたんだった…。)

「ありがとう…来てくれて…!」

「1万2千円もするSS席。ムダにするの惜しいから!」

「…ダフ屋にでも 売っぱらわれるかと 思ってた。」

「あ!その手があったか!惜しいコトしたわ!」

「…おまえな…!」

 がっくりと力の抜けた男の声に 女がようしゃなくつっこむ。

「幼なじみ ばっさり切り捨てる男より ましでしょ!?よっぽど!!」
 
「沙紀!」

「…っ!」

 それこそ 血を吐くような(…実際 本気で 落ちこんだんだよな…このとき!)叫びに
 さしもの強気な女も 絶句した。

「わかってる…オレがバカだった…!
おまえがいなきゃ ダメだって気づくのに…1年も かかった…。」


「…純…」

「もう一度!もう一度だけでいい!オレにチャンスをくれ!」

 さやかな衣擦れの音。

「オレには おまえしかいないんだ…。」

「…純…」

 ラブバラードの甘い音楽だけが 静かに流れる。
 
 …我を忘れて 夢中になって キョーコに キスの雨降らせてたシーン…だった…な。

 (後日「人の首筋に妙な痕いっぱいつけてー!!」って あしざまにののしられたが!)

「な、なによ…沙紀…。まだ、私に なにか…。」

 甘いバラードがフェードアウトする。
 やたら 長く感じたCMのあと
 唐突に冒頭の…沙紀にいじめられていた女の声。

「理恵…。」

「いっとくけど!もう!何言っても だまされないから!」

 きゃんきゃんと 女のほえる声。

「あの後!和彦にも会って…ちゃんと…誤解してたこと 謝って…!
許してもらったんだもの!」

 (当初は、ヒロインだったはずの)女が、必死に言いつのる後ろから
 (ヒーローになる予定だった)男の声が、割り込んだ。

「よせよ、理恵。」青春ドラマの主役らしい 男らしい声でとめる。

「僕たちさえ しっかりしてれば 誰がなんと言おうと 関係ない、そうだろ?」

「和彦…。」

「そうやって…大切に思われてるのに…自分から望んで 不幸の種ばかり
探してるようなアンタが 許せなかったのよ。理恵。」


「え?」

「でも、気がついた。私、うらやましかったの。単なる八つ当たりだった!ごめん!」

「さ、沙紀?」

「ぶっていいわよ!理恵!私、それだけのことした 自覚あるもの!」

「そ、そんな…!」

「そうしてくれなきゃ 私が 私を許せないの!ね!お願い!」

「…ううん!」理恵が きっぱり言う。

「大好きな和彦 信じてなかった私も ダメなの!今、わかった!はっきり!」

「理恵…!」

 いかにも青春!…な BGMが流れる。
 若者達の笑い声が こだまする。

 教会の鐘の音が響く。沙紀と純の結婚式。
 (なんせ 13クールの連続ドラマを2時間半に短縮してるので、ダイジェストで駆け足だ。)

 沙紀と純の声がはもる。
 
 “良いときも悪いときも、富めるときも貧しきときも、病めるときも健やかなるときも、
二人が共にいる限り、愛し慈しみ貞節を守ることをここに誓います。”


 …。

 本来なら
 「死がふたりを分かつまで」だったセリフを
 キョーコが 頑強に主張して替えさせた誓いの言葉

「途中で離婚したら どーすんですか!
まして、この純は 尽くしてきた幼なじみ ぽいと捨てるよーな欠陥人間でしょう!?」


 『信用置けるわけないじゃないですか!』

 …怒気も露わに 主張した…。

「いや…あの…でも 彼は、改心して…」

 プロデューサーが 必死に抗弁したが

「私が沙紀だったら、最初の時点で、部屋になんかあげずに 水ぶっかけて追い返します!」

「きょ、京子ちゃん…!ドラマだし…」

「ええ。ですから、精一杯演じさせて頂きました!でも!」

 頑とした 譲らぬ目で キョーコは きっぱり言い切った。

「この男がもう一度 同じ事繰り返す確率は 他の誠実な男より 高いはずです!
私が沙紀なら、『死がふたりを分かつまで』なんて 神様の前で言えません!恐いです!」


「…まあ…確かに、最近は そう変えるカップルも多いと聞いています。」

 黙って見守っていた脚本家が すっと話に入ってきた。

「僕はかまいません。その程度の文言の変更は。」

「そ、そうですか?ライターさんが そうおっしゃるなら…まあ、確かに 視聴者も そこまで
 細かく気にしないでしょうし…。」

 このとき
 俺の顔色は 真っ青とおりこして 真っ白だった…と
 祥子さんが 後で そっと 教えてくれた…。

「きれいやなぁ キョーコちゃん…。」

 おふくろのうっとりした声に 我に返った。

「ウエディングドレス姿も 見たいなぁ…。
そうやわ!東京でも披露宴して、その時 着てもらお!」

「…!キョーコには 受験が!」

 出雲で神前結婚式…だけでも どうかと思うのに!
 まだこの上 イベント増やす気か!?


 
スポンサーサイト



 関連もくじ一覧 ▼ 
総もくじ 3kaku_s_L.png アナザー・スキップ・スキップ・ビート!
総もくじ  3kaku_s_L.png アナザー・スキップ・スキップ・ビート!
もくじ  3kaku_s_L.png メッセージ
【霜夜(『東京ミシュラン』[2])【降らずの雨 №7】】へ  【特別番組(『東京ミシュラン』[4])【降らずの雨 №9】】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【霜夜(『東京ミシュラン』[2])【降らずの雨 №7】】へ
  • 【特別番組(『東京ミシュラン』[4])【降らずの雨 №9】】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。