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№31(side:久遠)

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「?あの…敦賀さん?どうかしました?」

「あ。いや!ごめん…」

「あ、あの…ごめんなさい…。やっぱり お弁当なんて失礼でしたよね。
敦賀さん 今や世界的なハリウッド大スターなのに…。」


「とんでもない!あんまり嬉しすぎて!ものがいえなかっただけだ!ホントだよ!」

「本当に?」

「もちろん!感激で胸がいっぱいだよ!」

 …涙が出そうだ…本気で!

 彼女の手料理…もう一度 食べられる日が来るなんて。

「起きてみたら すごくいいお天気で 風も 心地良くて!
日本だと じめじめしてて蒸し暑いんでしょうが、アメリカはいいですね!
暑いけれど、風はさわやかです!」


「湿度は低いからね…。テラスでいただこう、湖が見えるよ。」

「わぁ!素敵です!!」

「遠藤さん」

 16年前の帰国以来、父がずっと俺につけてる使用人を呼ぶ。

「支度を頼むよ。」

「承知しました。」

「京子様、さあ、どうぞ。」

「あ、よ、よろしくお願いします。」

 17年ぶりに再会した彼女に「初めまして」と言われて、ショックを受けていた
 遠藤ご夫妻だったが、今は、一切 表に見せず、丁重に彼女に接している。

 遠藤ご夫妻が彼女に接したのは、夏の別荘。
 礼文島も、石垣島も 2007年8月のことだった。
 2007年6月23日から来た彼女の記憶にないのは 当然だ。

 遠藤ご夫妻が 用意してくれたテラス席に座る。

 白樺林の向こうに きらきら輝く湖面が見える。

「グリーンゲイブルズみたい…。」

 うっとりと 彼女が見つめている。

「芝の生えた庭には小川が流れて 窓の外には 白樺林と湖が見える…
 赤毛のアンみたいな家に住んでみたい…って言ったことあったろう?」


「え?え?そ、そんなことまで 言いました?私!」

 ぼぼっと 彼女の顔が赤くなる。

「言ったよ。TV番組のインタビューに答えて、一度だけ。」

「敦賀さん所有の別荘の中に たまたま 私好み通りのものがあったなんて!
 すごい偶然ですね!」


「ああ…運が良かったよ。」

 偶然なものか。
 その言葉を聞いて 即 用意した別荘だ。ここは。

 君を…連れてくる前に…ヤツに…奪われてしまった…が…。

「カナダの無人島、丸ごと一つ買って 別荘建てちゃうなんて…!
 敦賀さん 相変わらず 金銭感覚 むちゃくちゃですね。」


「お金は使ってこそ生きるんだよ。使えば使うほど、他の人も富ませることができる。
 金は天下の回りもの…って いうだろ?」


「…そういう意味で 使う言葉じゃないですよぉ…。」
 むくれたように言うその表情は 17歳の彼女。
 なつかしさに 胸が熱くなって 眼の裏が痛くなる。

「おぼっちゃま、京子様 テーブルセット整いました。」

 佳奈さんが 声をかけてくれた。

「…さぁ じゃあ いただこう。君のてづくりのお弁当!」

 だめだ!
 このまま 彼女を見ていると 理性なんか はじけ飛びそうだ!
  
「はい!」

 オープンテラス。天然木のテーブルセットに座る。

 彼女が 小皿に 手際よく料理をとってくれる。

 おにぎり 卵焼き 唐揚げ 魚の煮付け
 
 最上さんの味…だ。

 17年前…毎日 当たり前のように 味わっていた。

 「あのとき」以来 初めて「味」を…舌が喜んで受け入れている!
 「あのとき」以来 初めて「食事」を…胃が楽しんで受け付けている!

「…敦賀さん!?」

 彼女の声に 自分が…いつのまにか泣いていたことを 知った。

「ごめん…久しぶりの味で…昔を 懐かしく思って…ね。」

「こ、こんなのでいいなら、また作ってきますね!」

「ああ、ありがとう…。」

 アメリカに帰ってきて 16年
 がむしゃらにやってきた。何も考えなくていいように。

 生きてきた、ひたすらに。

 生きていたつもりだった…!

 最初の1年は まだ どこか 期待していた。

 俺の手を必要としてくれるんじゃないか。
 やっぱり アイツに幻滅するんじゃないか。

 ヤツの眼が治ったときには
 これで もう彼女を縛るものは ないだろうと。
 これで もう遠慮する必要なんかは ないはずと。

 取り戻しに行きたいと思った!
 迎えに行こうと…。
 
 でも
 そのときには 彼女は すでに身ごもっていて…。
 
「敦賀さん!いえ!Mr.久遠!お久しぶりです!わぁ!お懐かしい!」

 あの晩、16年ぶりに再会した彼女は
 見違えるように美しくなり 幸せに満ちあふれて 輝いていた。

 それで…悟った。

 不破が…あの男が
 どれほど彼女を大事にして慈しんできたのか。

 どれほどに 心を砕いて あふれるほどに 愛情を注いできたのか。

 アイツは、彼女を幸せにしている。昔、俺に誓ったとおりに!!

 言うつもりはなかったんだ…今さら。

 君さえ

「久遠さん、来る者拒まず。去る者追わず。…な プレイボーイもほどほどになさらないと!」

 からかいまじりに

「そろそろ あの中から お一人に絞って 結婚なさったら…。」

 あんな残酷なことを言わなかったなら!
 
 俺は 生涯 封じ込めていたのに!

「ショー…不破さんのアメリカでのスケジュールは まだ3週間以上残ってますから。」

 最上さんが そっと語りかけてきた。

「また、なにか、お料理作って来ます。」

 優しくほほえむその表情は 
 俺のものだった 17年前の彼女。

「ああ。是非。」

 もう、遅い。

 封印は はじけ飛んでしまった。

 俺は、もう二度と 離さない。
 逃がしは しない 絶対に!

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