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「アナザー・スキップ・スキップ・ビート!」
降らずの雨

幸せの音 ― 聖夜の奇跡 ― (X'mas単発SS)

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いつも どんなときでも
 君が そこにいてくれる


 最後のバラードを歌い終わる間際、最前列のテーブルに近寄る。

 そこに座ってらっしゃる佐久間ご夫妻と笑顔で固く握手を交わす。

 万雷の拍手の中、ステージに戻り、客席に深々と頭を下げた。

 幕が下りる。

 緞帳が最後まで下りきったとたん

「ショーー!!」

 …?
 祥子さん?

 まるで悲鳴のような呼び声。

「す、すぐ!車に乗って!キョーコちゃんが!キョーコちゃんが!!」

「…え?」

「さ、産気づいたって…!」

「なっ!」
 即 出口に向かう。
 祥子さんも 小走りについてくる。

「よ、予定日は た、たしか…。」

 病院に向かう車の中 震える声で祥子さんが確認する。

「…1月20日だ!」

 1ヶ月近くも…早い!
 …早すぎる!!

「松!」

 病院についたとたん おふくろの悲痛な声が響いた。

「松ぅぅぅ~。」

「…!どうしたんだ?!」

「あ、あぶない…て。」

「…!」

「ショ、尚!」
 
「…ご主人!こちらに!!」

 看護師がオレを見て取るや すぐに中に呼ぶ。
 
「キョーコ!」

 酸素吸入器と点滴に囲まれて 蒼白になったキョーコが横たわっている。

 オレの声に キョーコがかすかに目を開けた。

「…ショー」

「キョーコ!」

 その手を握る。
 指先の冷たさにぞっとした。

「…し…ご…と」

「…え?」

「…キョーコちゃんいうたら…苦しい息で…必死に演技して…安芸さんに電話…。」

 …!

 瞬時に
 本番前の会話がよみがえった。

White Line

「尚、キョーコちゃんから さっき電話があったの。」

 舞台袖に待機していたオレに、祥子さんが言いにくそうに告げた。

「『少し体の調子がよくないから、大事を取って今日は外出控えたい』そうよ。」

「…そう…か…。」

「『せっかくのX'masディナーショーなのに、行けなくてごめんね』って。」

「…いや。いいんだ。」

 …それより!
 キョーコの体のほうが!

 即
 携帯でキョーコの電話を呼び出す。

 〈はい。キョーコです。お電話ありがとうございます。ごめんなさい。
 今日は、もうお先に休ませていただいております。恐れ入りますが…〉


 いつもの…寝る前にキョーコがセットする留守電。

「キョーコ、大丈夫か?すみしだい、すぐ帰るから。ゆっくり休めよ。」

 聞くのは、オレが帰った後になるかも…とは 思ったが
 ついメッセージを入れてしまうのは、習慣というかクセというか

「佐久間ご夫妻も がっかりなさるわね、きっと。」

 同じテーブルに…と 配慮してたんだが…。

「…まあ。仕方ない。キョーコは 今 普通の体じゃないし。」

「そうね!なんたって 妊婦さんなんだし!お腹の赤ちゃん第一よね!」

White Line


 あ…っ!
 あのときには、もう!?

「なんですぐ!」

 …という声は…のみこんだ。

 仕事に関しては…オレもキョーコも同じ人種だ。

 放り出しては帰れない!
 どんな事情があろうとも!

 知ってたら、
 どれほど苦しみ のたうち回っていたことか。

「終わらせてきてる!ちゃんと!!」

 目が ほっとしたようにゆるんで すっと閉じられる。

「キョーコ!!」

「カンフル投与急げ!」「血圧低下してます!脈拍が…」

 医師団の動きが あわただしくなった。

「処置をします!ご家族は、外でお待ちを!!」

 強制的に 廊下に出される。
 へたへたと おふくろが その場にすわりこんでしまった。

「おふくろ!」

「隣の診療室のベッドに!」

 声を聞いて出てきた看護師の一人が、すぐ手を貸してくれた。

「す、すみません。」

 おふくろの体を横たえながら、恐縮する。
 向こうも手が離せない状況なのに!

「無理ありませんわ。大事なお嬢様ですもの。お母様も さぞ、ご心痛でしょう。」

 優しく答えて 看護師は 即 戻る。

 お嬢様、お母様…か。

 いつものことだ。

 たいていの人間は キョーコとおふくろのほうが 実の親子と受け取る。

 おふくろが徹底してキョーコばかりを…

「キョーコちゃん…堪忍…。」

 布団を掛けて キョーコの病室の前に戻ろうとするオレの耳に
 おふくろのつぶやく声が聞こえてきた。

 うわごと?

「知っとったのに…あんたの気持ち…ちゃんと…。」

 おふくろが泣いている…?

「そやのに…無理に…松に…添わせて…。」

 …っ!

「わざと…結婚式…派手なイベント…次々ぶつけて…考える時間…奪って…。」

 …お
 おふくろ…っ!?

「あんたじゃなかったらあかんのや。松には あんたがおらんと…。」

 意識のないまま おふくろのうわごとが続く。

「あの子の…人生…あんたなしでは…。あの子は…昔から あんたしか…。」

 おふくろ…!!

「…全ての咎はうちにある。神様…代わりに うちを…どうか…!」

「…母さん!」

 オレのため…
 全部 オレのために なにもかも

 わかっていたんだ オレの気持ちを オレよりもずっと
 オレでさえ気づいてなかった…気づくのが遅すぎたキョーコへの…想い

 おふくろのほうが よほど…!

「ご主人!!」

 突然
 頭上のコール。緊迫した声が響く。
 
「いらしてください!すぐに!!」

 即 隣の病室とびこんでいった。

「しっかり!」「ほら!もう 頭が見えますよ!」

 優しく力強く励ます声が 飛び交う。

「奇跡です!容態が安定しました!分娩に踏み切ります!奥様のそばに!」

 …!

「キョーコ!!」

 そのきゃしゃな手を握る。

「…ショー…」

「オレがついてる!がんばれ!!」

「…うん…」

 苦痛にゆがむキョーコの顔が ふっとゆるんだ瞬間。

 赤ん坊の声が響いた。

「女の子ですよ!」

 すぐに赤ん坊をオレ達に見せてくれた。

「…抱かせて…。」

「ええ!」

 清潔なガーゼにくるまれて 差し出される小さな命。
 おそるおそる触れてみた。温かい。声を限りに泣いている。

「…よかっ…た…。」

 赤ん坊を見つめた優しい瞳のまま キョーコがオレにほほえむ。

「これからも よろしくね…パパ。」

「…キョーコ…」

 赤ん坊ごと そっと華奢な体をだきしめた。
 尊い汗で光るその額に キスをする。

 ドアの向こう
 看護師に支えられて うれし涙にくれる おふくろの姿。

 聖なる母子の姿を月光が優しく包む。
 どこか遠くから教会のミサの鐘の音が厳かに響いていた。

Bright Night


切ない想いに苦しんだ日々
 心の痛みに耐えてた日々も
全てが 宇宙(そら)の彼方

君は 今 ここにいる

今こそ 永遠に誓うよ
 君を 愛し続ける

光が 優しく 包み込んでる 
二人の未来を ことほぐように

 Melody of Light
 You are my only Bright

君が 俺の 光 
君が 俺の 希望

 君が 今 そばにいる

     『光の旋律』(作曲・作詞・歌 不破尚)



ライン「White X'mas」イラスト「Bright Night」(「Heaven’s Garden」様より)
画像


お題提供「恋したくなる お題配布」様
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