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 ←オレだから気付くこと【降らずの雨 №20】  →たまにはいいよね【降らずの雨 №22】
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「アナザー・スキップ・スキップ・ビート!」
降らずの雨

惚れた欲目を差し引いても【降らずの雨 №21】

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「ほ、本当に…夢のようです…。」

 舞台袖…横に立つ和音さんが涙ぐんでいる。

 ノーギャラで しかも 交通費宿泊費も自分持ち…なんて
 とんでもない条件で持ってこられたコンサート話だったけど

「出雲大震災復興チャリティーと聞いちゃあ やるしかないよな。」

 ショーは すぐ、快諾して
 しぶる事務所叱りつけて、スケジュールを強引に空けさせた。

「いえ。でも…バンドまでは 連れてこられなかったから…皆さんに…ご迷惑…。」

 ぶんぶんと 彼女は 首を横に振った。

「それも!みんな すごく光栄に思ってます!
 今や世界的なアーチストの不破さんのバックで演奏できて!」

 ここは東京でも有数の名門音大付属高校。

 そこの定期公演を「出雲復興チャリティー」にと計画したものの
 名門とはいえ、高校生の演奏では集客力は限られている。

 生徒会長の彼女が
 だめもとでも!…と アカトキの事務所にアタックしてきた。

「あの出雲大震災で 献身的で尊い愛情 身をもって示された不破さんが
一番ふさわしいと思ったんです!」

 有能な生徒会長が 晴れやかにほほえんだ。

「佐久間さん!次、あなたの出番!」

 スタッフ役の学生が 小声で促す。

「いってきます!」

 紺色のドレスに身を包んだ和音さんが 舞台に上がり、ピアノの前に座る。

 次の曲は ピアノとだけ あわせる。

 静かに
 前奏が流れ…

 …っ!

 …う
 うまい!

 素人の耳にも
 この…佐久間和音さんって…すっごく上手い…!

 ショーの歌声が 滑るように入ってきた

  湖面をすべる 優雅な白い鳥
  水面(みなも)に隠れた足は見えない
  静かなる夜 かそけく響く虫の声
  君を想う心 誰にも見えはしまい

   月がささやく 優しくひそやかに
   星が瞬き 君の面影 揺れている
   愛の苦しみ 哀しみ 切なさを
   知らずにいた日々 戻らない

     ― 「埋み火」☆テーマ曲 『白鳥の歌』(シューベルト)より 着想 ―

 
 シューベルトのセレナード。
 …を元にして ショーが作詩した…『白鳥の歌』

 ショーの許嫁を演じた…ドラマ…のテーマ曲。

 最後には、敦賀さん…の奥さん…に…なった『埋み火』…。

 ちりっ

 …!?

 な!?
 なに…!?

 胸の奥が かすかに痛む…?

 ど、どうしたんだろう!私!!

 敦賀さん…いえ 久遠・ヒズリさんは

 ハリウッドでも 即 オファーが押し寄せて

 あちらでも 絶賛大活躍中

 私ごとき タダの後輩が 心配するほうが かえって失礼ってもんでしょう!?

 私が暗くなってたら ショーに心配させちゃう!
 見えないはずなのに…なぜか すぐ わかっちゃうんだもの…!

愛のピアノ


「すごい 佐久間さん 乗ってる!」

「あこがれの不破さんの伴奏だものね!そりゃ 燃えるわよ!」

 ん?

 袖口で 出待ちの生徒達が ひそひそ 語り合う声。

「筋金入りの『信者』だものねー!もう ファンなんて域 完全に越えて!」

「私も布教された!『本当に本物の歌手』なんだって!『惚れた欲目を差し引いても』!」

「不破さんのあの目の事故の時 半狂乱で 見てられないぐらいだったし…。」

「婚約発表の時なんか…食事もろくにとれなくて 3kgもやせたものね…。」

 …どうやら 私の姿は 緞帳の影で 彼女たちからは 見えないらしい。

「でも…相手が あの『京子』さんじゃ しょうがない…って どうにか あきらめつけたんだって。」

「練習中も ホント あつあつで!さんざん 見せつけられたしねー!」

「そりゃ、不破さんが 命がけで 守った最愛の人だもの!」

「そこの二人!のんきに見てないで!そろそろ 裏で チューニングしなきゃ!!」

 押し殺した声で 後から リーダーらしき生徒の指示が飛ぶ。

「「はい!すみません!」」

 さっと 背後の二人の気配が消えた。

 …知らなかった…。

 そりゃあ
 大ファンなんだろうな…とは 察していたけど…。

 伴奏している女性…佐久間和音さんの姿を 改めて見つめる。

 ピアノも 楽譜も 見てはいない。

 じっと
 ショーのほうを 熱く見つめながら 鍵盤に指をすべらせている。

 幸せをかみしめているような その表情に 胸が痛んだ。

 もてるのよね…ショー

 昔も今も

 作品に恵まれたおかげで
 たまたま賞をいただいて名が多少売れただけの

 デビューして2年にもならない まだまだ かけ出しの女優…

 なんで あんな華のない平凡な女に…って
 きっと ずいぶんたくさんの女性に うらまれてる…私

 彼女の視線の先にいるショーに視線を戻す。
 
 復帰以来
 新たなトレードマークになった薄い色のサングラス

 言の葉のひとひらひとひらに 想いを刻んで歌う 優しく甘い声

 『力をも入れずして 天地を動かし 目に見えぬ鬼神をもあはれと思はせ…』(古今和歌集 序)

 ”歌”は 歌い人の力で 命を帯びる。

 思えば
 幼い頃から 私を力づけてくれていた 彼の歌 彼の存在

 幼なじみだからではない

 ”妻”になったから…でも…ない

 この人は 本当に本物の歌手

 心から そう思う

 惚れた欲目を差し引いても!



イラスト「愛のピアノ」(「Heaven’s Garden」様より)
画像


お題提供「恋したくなる お題配布」様
恋したくなるお題配布bana2

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