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降らずの雨

オレだから気付くこと【降らずの雨 №20】

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「…不破さんって…本当に 奥様のこと 愛してらっしゃるんですね…。」

「…え?」

 いやにしみじみと言われて きょとんとする。

「あ。すみません…だって…誰よりも早く…奥様が いらしたことわかる…なんて…
 …それも…10mも先…防音壁の向こう…なのに…。」

「…オーラというか…空気の流れで…ね。」

 あくまで キョーコ限定だが!
 
「…京子さんにだけ…でしょ?TVで聞いたことあります。」

 佐久間和音嬢―音大付属高校の生徒会長―が からかうように続ける。

 …バレバレか…。

 おかげで おふくろには さんざん 嫌味言われてるが!

「お幸せですねぇ…そんなに 愛してる方 奥様にできて!」
 
「ああ。ありがとう。」

 まったくだ…
 奇跡としか思えない!

「あの…少しは 照れてみせるものなんですよ…?普通は…!」

「?なぜ?」

 実際
 本当に こころの底から ありがたくて幸せなんだ!

 正直に そう言って何が悪い!?

「…いえ。で、では コンサートの後半の演出ですが…。」

「ああ。」

 やっと 相手が 本題に戻ってくれた。

 ふっと 優しいピンクの風が 近付いてきた。

 静かに ドアが開く。

 ミルクティの温かい香りと…スコーンの香ばしい香りとともに

「ああ、悪いな、キョーコ。ありがとう。」

 オレの声に 佐久間嬢が ハッと振り返る気配。

「お疲れ様です。佐久間さん、ショー。少し、休憩してお茶はいかが?」

「す!すみません!京子さん!!」

 がたっという音と共に 佐久間嬢の声の位置が 途中から高くなる。

 あわてて立ち上がったようだ。

「おやつにと思って 焼いてきたの。」

「わぁ、おいしそう!!」

「他の生徒さん達には もう 配ってきたから。」

「あ。ありがとうございます!!みんなの分まで!!!」

 …なるほど。

 すぐ隣にまで 気配が近付いてたのに こっちになかなか来なかったのそのせいか。

 防音の効いた壁越しで気付かなかったが
 キョーコがドア開けた瞬間 感動と感激の喧噪が聞こえていた…そう言えば。

「おまえも ここで食えよ。」

 食器の位置教えてから去ろうとする キョーコをひきとめる。

 あっちに帰らせたら
 瞬時に 男子生徒どもが 群がってくるのが目に見えている!

 1週間前
 佐久間嬢が オレ達紹介したとき
 
 「ほ、本物の方がすっとかわいい!」「あ~!夢みたいだ!!」etc…
 かげでこそこそ ぬかしやがる男どもの声が あちこちで聞こえたからな!!

「え?でも…・」

「ぜひ!そうなさってください!キョーコさん!!」

「え、ええ。じゃ、皆さんに、お断りして…自分の分 持ってくるわね。」

「ああ。」

 …。

 『皆さん』…ね!

 やっぱり
 誘われて 一緒に食う約束させられてたらしい!

 十中八九 『男』だろう!

 間違いなく!!

 ふぅ~

 結婚したら 安心だと思ったのに!

 何かと ちょっかいかけようとするヤツが いっこうに減らないのはなぜだ!?

 おまけに…

 『私なんか 狙ってた物好きいませんよ』

 …だものな!!!

 あの 鈍感女!!!

 鈍いにも 程がありすぎるだろう!!

 …『アイツ』の…
 あんな露骨なアプローチ がんがん受けてたくせに!

 …いや…

 助かった…キョーコが鈍感で…。

 だからこそ

 今…オレのものにできているんだから…。


yuzukago4.jpg

「お待たせしました。」

 優しい柔らかな風と共にキョーコが入ってくる。

 すっと 右手を伸ばす。

「?なあに?」

 お盆をテーブルに置く音の後、キョーコが側に近寄ってきた。

 すっと手を引き寄せて、腰を抱く。

「…っ!」

「ショ、ショー!!?」

「せっかくの長いすなんだ。来いよ、すぐ隣に。」

 抱きしめて そのほほやおでこにキスをする。

「ショ、ショー!!!さ、佐久間さんが あきれてらっしゃるわよ!」

 …!

 そうだった!!

「し、失礼…!つい、条件反射で!」

 あわてて キョーコを離す。

「…い、いえ…。」

 佐久間嬢のにこやかさを装う声が震えている…。

 悪いコトした…。

 さぞや 驚かせたのだろう。

 態度・話しぶりからして、今時珍しく純情そうなコだったし…。

 つい
 『アイツ』のこと 思い出して むかむかしてたから…。

「そ、それでは いただきます!」

「え、ええ。はい、ゆずジャムか生クリームか お好きなものつけてね。」

「ありがとうございます!」

「ショーも、はい。」

 スコーンをちぎって、生クリームとゆずジャム両方塗ったかけらを オレの手に握らせてくれる。

 その手ごと 口元にもってきて パクついた。

「ちょ、ちょっと!?」

「あとで 手を洗うのめんどい。」

「あ、アンタねー!!」

「次、チーズ入り。」

「もうぅ~!!」

 …ぶつくさいいながらも
 ちゃんと リクエストしたスコーンをちぎっては オレの口元に持ってきてくれる。

「お、おいしいですね!このジャム!甘過ぎなくて!」

 おずおずと 佐久間嬢が 話しかけてくる。

「ありがとうございます。お口にあってなによりです。」

「…って!こ、これも 京子さんの手作り?!」

「ええ。ショーの実家から 山ほど ゆず送ってくれるんです。」

 京都は 町ぐるみ そうだが

 実家の旅館も
 風水を考慮して 西の方に黄色の実をならせてる。

 我が家では 
 冬の夜は、毎日 これを お湯で溶かして 飲むのが日課…だ。

 物心ついてから ずっと続いてた
 上京した後は いつの間にか忘れていた この習慣

 キョーコと結婚してから 思い出した。

 キョーコが再現してくれるからだ。

 朝ご飯のぶぶ漬け 京風のあじつけ
 気温に応じて 日ごとに微妙に変わる 玄関の香

 昔
 京都で こいつがオレの家にいた頃のままに

 オレ達には
 オレ達にしかない 思い出がある!

 共有できる宝がある!

 考えるな!忘れろ!
 『アイツ』のことなんか!!

 …今
 キョーコを 手に入れたのは オレだ!

 絶対に 離すものか!!

 渡しはしない 絶対に!

 生涯 他の誰にも!!


イラスト「ゆず」(「十五夜」様より)


お題提供「恋したくなる お題配布」様
恋したくなるお題配布bana2



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