スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←№34(side:久遠) →№36(side:京子)あるはずのない温もり
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



総もくじ  3kaku_s_L.png アナザー・スキップ・スキップ・ビート!
もくじ  3kaku_s_L.png メッセージ
【№34(side:久遠)】へ  【№36(side:京子)あるはずのない温もり】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

アナザー・スキップ・スキップ・ビート!

№35(side:尚)

 ←№34(side:久遠) →№36(side:京子)あるはずのない温もり
「お、奥様が…行方不明!?」

「…ええ…。何か お心当たりは ないか…と。」

「いえ!今日も サロンでお目にかかって…奥様は 1時間ほどで お帰りになりましたが
いつもどおり お変わりなく…。」

 ノエラ・ツルガーネワ(本名:ラーニャ・ソムヤンカ)嬢の住まい 都心のこじゃれたマンション

 趣味のいい応接間で 彼女は おちつかない様子でそわそわしていた。 

「昼前に…キョーコを 車で送ってくださったそうですね?」

「え?ええ!いつもなら 表玄関から出るのだけれど、今日は 外に 妙な人がいて怖いから
裏口から こっそり出してほしいと頼まれて…。」

「…どこで 降ろしました?」
 
「1kmほど先の ハイアットホテルのタクシー乗り場まで お送りしました!
 私も ボディーの予約時間が 迫ってまして あまり 遠くまでは お連れできなくて!」

 ぶるぶると 手が震えている。

「どうしましょう!わ、私ったら!」

 ついに わっと 泣き出した。

「こんなことなら!きちんと お泊りのホテルまでお送りすればよかったんですわ!
 京子様に もしものことがあったら!」

「…そこまで ご心配くださるなら…。」

 冷たく 女の目を見据える。

「教えてもらおうか。」

「…え?」
 
「今、京子がどこにいるのか…な!」

「…?!」

 女の顔が 
 蝋のように白くなった。

月のかけら



「わ、私…」

 駐車場の監視カメラに映っていた
 他人の車の側でしゃがみこみ こそこそ 何かをしている自分の姿を見せられ

 ついに 女は観念した!

「わ、私は 奥様から お預かりした携帯を…他の誰かの車に はりつけておけと 言われて…」

「…誰に…?」

 びくっと 雷に打たれたように 女の体が跳ねる。

「誰が アンタにそうしろと 命じた!?」

「…!」

「Yesか Noで答えろ!」

 その目を鋭くにらみつけて、女のあごを 強くつかむ。

「クオン・ヒズリ…昔の…敦賀蓮…!そうだな?!」

 大きく見張った女の目が 10秒ほどで観念したように閉じられた。

「…Yes…」
 
「ヤツは キョーコを どこへ連れていった!?吐け!」
 
「ほ、本当に 知らないのです!」

 女が 苦渋に満ちた表情で言う。

「A作戦なら…奥様は 一度サロンに戻ってこられ…私と合流して携帯を受け取られ…。」

 …?

「…A…作戦?」

「…奥様を…説得して ご自分からお姿を隠させるようしむける…はずだったのです…」

 深く重い溜息をはく。

「携帯に『しばらく一人で考えたいから 探さないで…』っていうメッセージ ご自分で吹き込まれ…
 忘れ物のふりで 携帯を置いていく…予定でした。」

「っ!」

「ですが…奥様が その作戦には…乗ってくださらなかったので…」

 女が 手で顔を覆ってしまった。

「もう 私にも わかりません!Mr.クオンが どこに 奥様を連れて行かれたのか…。」

「なんで アンタが知らない!?仲間だろう!」

「教えてくださいませんでした!…最初から、私なんか、信用なさってなかったのでしょうね…。」

 なんとも寂しく切ない目…
 演技では なさそうだ…今度は。

「『君は知らなくていいことだ。B作戦になったときには、携帯を閉店時間ぎりぎりまで預かって、
帰り際に、適当な車に貼り付けて帰るだけでいい。』…それが、最後の指示でした。」

「なんでもいい!」

 せっぱ詰まって 女の肩をぐっとつかんで揺する。

「頼む!思い出してくれ!何か、ヒントになるようなことはなかったか!?ヤツの会話の端々に!」

「も、申しわけありません…あの方は いつも 必要最低限にしか…。」

 ぴーぴーぴー

 !

 警備会社からの緊急コール!

「どうした?!」

「不破様!いただいたリストの住所、全てを調べましたが、どこも無人でした!」

「…!」

「ホ、ホテルやモーテルでは…。その…客の顔を見ずに通すタイプの…」

 かっと 頭に血が上る。

「それはない!」

 オレはヤツを知っている。
 だから、きっぱりと 言い切れる!

「は?」

「ヤツがキョーコを その種の下品な場所になんか 連れて行くはずがない!」

「…え?」

 お姫様のような豪奢な部屋与えて 大切に大切にしていたんだ!

 贈る物は、いつでも最高級品ばかり。…心底…熱愛して慈しんで…いた…。

 どれほど追いつめられてたって
 キョーコをそんなとこには 連れて行かない!絶対に!

「…不動産関係を調べろ!」

「と、いいますと?」

「この5日間で、アメリカ・カナダで大きな物件 即金で支払った客がないかどうか…だ!」

「アメリカとカナダに…限定なさってよろしいのですか?」

「ああ!アメリカとカナダは それこそ パスポート見せるだけで 行き来できる!
だが それ以外の国だと しっかり パスポートをチェックされる。」


 そっちの方には、即、手を打った。

 今のところ キョーコが国外に出た形跡はない!

「了解!」

 力強く請け負って、通話が切れる。

「…あの方が…おっしゃってたとおりですわね…。」

 ぽつり
 女が つぶやいた。

「…ん?」

「『ライバルでなければ いい飲み友達くらいには なれたかも』って…。
お互いに 根本的なところは、認め合っておられるんですの…ね。」

 !?

「…冗談じゃない!ヤツなんぞ 認めるか!
 わかってるのか!?これは 誘拐だ!重大犯罪なんだぞ!?」


 A作戦…とやらに 『乗らなかった』ということは!
 キョーコは、『意に反して』ヤツに連れ去られてるってことだ!

「…は…い…。」

「万が一、ヤツから何か連絡が来たら!何食わぬ顔して出ろ!少しでも 手がかり聞き出せ!」

「了解…。」

 これ以上 この女から聞き出せることは なさそうだ!

 即 きびすを返して 玄関に向かう。

「…Mr.不破…」

「…なんだ?」

「最初から…私が Mr.クオンの協力者だと確信 お持ちだったのは…なぜでしょうか。」

「…この部屋だ」

「…え?」

「エステだけなら…事務所の意向だと思ったが…ここまでの部屋与える必要はない!
アンタの境遇なら 郊外のアパート ルームメイトとシェアリングするのが 精一杯のはずだ!」

 失敗だった!

 コイツを調べたとき!
 その住まいも 充分 検分させとくべきだったんだ!

 ふぅ

 女が溜息をついた。

「なんで、そんなことを?」

「ごめんなさい…女優としての最後のプライドです。」

 ん?

「私の演技がまずかったせいじゃないと…。」

「…女でよかったな…。」

「…あ…。」
 
 寂しくほほえみかけていた女の表情が ぴきっと固まった。

「でなければ…殴りつけてたとこだ!」

 みるみる 女の目に涙が浮かぶ…が 

「どうせ 演技なんだろう!それも!!」

「Mr.不破!」

 女の悲痛な声に もはや 振り返りもせず 外へ出て行った。

 外は、とっぷりと闇に包まれている。

 午後9時…!

 …キョーコ!

 どこに いるんだ!!



イラスト「Moon Flower」(「Heaven’s Garden」様より)

link-bn-g4.jpg


スポンサーサイト



総もくじ  3kaku_s_L.png アナザー・スキップ・スキップ・ビート!
もくじ  3kaku_s_L.png メッセージ
【№34(side:久遠)】へ  【№36(side:京子)あるはずのない温もり】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【№34(side:久遠)】へ
  • 【№36(side:京子)あるはずのない温もり】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。