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№37(side:久遠)傷跡を自覚した朝

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「…不思議です…」

「ん?なにが?」

 暖炉を前にして 語り合う内に 最上さんが ぼそっとつぶやく。

「向こうの世界と…ここ…すごく そっくりなとこが 多いです!」

「…そう…?」

 そりゃ そうだろう!

 全く同じ世界なんだ!ただ 君の記憶が飛んだだけで!

 …という声は 必死に飲み込む。

「向こうの敦賀さんも すっごく お優しくて!…こんなふうに 服とか家具とか…買ってくださって…。」

 …!

「こっちの京子さんも…17歳の頃、敦賀さんのこと お兄さんみたいに頼りにしてたんでしょうね!」

 そのほほえみに 悪気はない 悪気はない…が!

 思わず手に持った 流木 まっぷたつにへし折る。

「…ああ、本当に…ね。」

 抑えろ!
 今、ここで 彼女を怯えさせてはダメだ!

「だから…俺も つい 保護者気分でね…。」

 さりげに 彼女を抱き寄せる。

「…すごく 可愛くて…君に似合う 服やらアクセサリーやら 選ぶのが楽しかった…。」

 もはや『趣味』だったといっていい!

 自分のなんか 契約ブランドのお仕着せで適当だったが
 彼女に…となったら どれほどに 吟味に吟味を重ねて 選んだことか!

「あ…の でも…あれほど いっぱい 着替えの必要は…お、おまけにアクセサリーまで…」

「ああ。つい…昔のクセで…とまらなくて…ね。」

「は、はぁ…。」
 
 俺が用意した中から 彼女は一番飾りの少ないのを選んだ

 絹のワンピース やわらかなアイボリーの色…。

 暖炉の火を受けて ふうわりした髪が 輝いている。

 風呂から出てきたばかりの彼女が
 恐縮して遠慮するのを押し切って 俺が乾かした…

 椿油に つげのくしで梳いていく
 つややかな栗色の髪に ブラッシングする風を装って 心ゆくまで触れて堪能していた!

 ピンクの真珠ちりばめた髪飾りを そこに差したときには 喜びに手が震えた!

 様々な宝石のを用意してきた

 アクアマリンの透明な青もきっと映えるし ルビーの鮮やかな赤だって絶対に似合う!
 
 そう思ったら…止まらなくて…。
 髪飾りだけでも 20種類 用意している。

「それにしても…椿油とつげのくしまで!よくご存じですね?『京子さん』のお手入れセット」

「…有名な話…だからね…こっちでは…。」

アリスの時計


「京子さんの髪 すごく おきれいですよね!何か 秘訣が?」

「あ、ありがとうございます。あの…」

「椿油とつげのくし…で 毎晩 3000回のブラッシング…ですよ。」

「ほぉ~!?詳しいですね、不破さん!」

「よほどのことがないかぎり それは 俺の役目なんでね。」

「ショ、ショー!」

「…あ~、そ、そうですか…。」

 男の方の司会者が絶句する。

「あ、あの!京子さん お会いするたび 毎回違う すばらしいご衣裳にアクセサリーですよね!」

 女性の司会者が 必死に話を続けようと試みる。
 
「似合いそうだなと思ったら つい 買っちゃうんですよ。あれこれと…ね。」

 5日前のレセプション
 
 最上さん…いや…あのときは、キョーコちゃん…か

 彼女と久しぶりに再会した パーティ会場

 毎回変わる
 彼女の豪華なドレスとアクセサリー

「愛する女には いつでも 最高の物 身につけさせないと。それが男の甲斐性ってもんでしょう?」

 ヤツは 平然と答えた。

「キョーコには 着せ替え人形じゃないって しょっちゅう文句言われてますけどね。」

 いとおしげに ほほえんだ。
 あっけにとられた観衆の中 ほほをそめる彼女を抱きしめながら…。


AliceUsagi.jpg

 ばきっ

 直径5cmほどの流木が 手の中で粉々になった。

 思い出すだけで 怒りがこみ上げる!

 それは
 俺が するはずのことだった!
 俺が 言うはずの言葉だったんだ!!

 
「ショーのことさえなければ…うっかり 同じ世界かと思ってしまうとこです。」

 …っ!

 彼女の言葉に 我に返る。

「こっちの不破さんと向こうのヤツでは ほんと まったく別人ですから!!
私!何とかして不破さんに爪のかけら頂いて帰って ヤツに飲ませたいです!煎じて!!」


 …。

 最上さんが跳んできたのは『2007年6月23日』。

 確か…ヤツが彼女に告白したのは…その6月の…終わり頃…。

 ふぅうううう

 間一髪!

 できたら
 この状態で 記憶固定させる方法はないのか!?

「…でも…」

 ぽろぽろぽろぽろ
 最上さんの眼から 涙がこぼれ出す…

「も、最上さん…!」

「も、戻り方が わからないんじゃ どうしようもない…ですよね…。」

 ひっくひっく
 子どものように 泣きじゃくる

「最上さん…」

 ぎゅっと 胸の中に抱きしめた。

「大丈夫、大丈夫だから…ね?」

 すっと ほほに口づけて 涙を吸い取る。

「つ、敦賀さん…!」

「コーン…だよ」

「…え?」

「俺は コーンだよ。キョーコちゃん」

 ゆっくりと
 目から黒のコンタクトを外し 黒髪のかつらをとる。

「君の哀しみを 涙を 吸い取る存在…だ。向こうでも こっちでも…ね。」

「…コーン…!」

 彼女は ぎゅっと 俺の胸にすがってきた。

 窓の外は ほのかに明るい
 海の向こうから もうすぐ朝日が昇ってくるようだ

イラスト「Alice~3月うさぎの時計~」(「Heaven’s Garden」様より)
link-bn-g4.jpg

 お題提供「恋したくなる お題配布」様より
「忘 れられない君へのお題」
恋したくなるお題配布bana2

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