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№36(side:京子)あるはずのない温もり

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 ざぁーん ざざぁーん

 潮鳴りの音が どんどん近くなってくる…

 なにか…温かく やわらかいものに 包まれて心地よい

 橘の花の…清々しい香り…

「…!?」

 こ…!

 この香りは『Ren』!

 …敦賀さんのイメージコロン!!

 い、いったい?!

「…目が 覚めた?」

「…っ!つ…!?」
 
 ど、どうして

 お、おおおお、同じベッド!?

 な、なぜ
 抱きしめられているの!?私!!

「…ああ…そうか…。6月23日から 来たんだったね…。」

 ふぅ

 敦賀さんが 重く溜息をはく。

「俺達、昔は こうやって同じベッドに寝ていたんだけどね…七夕あたり以後は」

「はぁ!?」

 う、うそ!!

 そ、そんな い、いくら 仲のいい先輩でも!

 常識はずれにも ほどがあるでしょ!京子さん!!

「あ、あの…!つ、敦賀さん!」

「わかってるよ。」

 寂しくほほえんで 敦賀さんが 離れた。

「もう 君は 大人だ…添い寝の必要な子どもじゃないよね。」

 …!

 子ども…

 …添い寝…

「…!最上…さん!?」

 そんなもの

 …そんなこと…

 わたしは 一度だって してもらったこと!

「最上さん!」

 ぎゅっと 抱きしめられて はっと我に返った。

「…のど…かわいてない?シードルがあるよ。」

「わ、私 みせいね…」

「その体は 34歳だ。問題ないよ。」

「…そ、そうですね…。」

 敦賀さんが ベッドの脇のクーラーBOXから 小瓶を取り出し 栓を抜いて渡してくれる。

「あ、ありがとうございます…。」 

 一口ふくんだとたん 体が 渇きを思い出す。一気に 飲み干した。

 かすかな炭酸が 喉に 心地いい。

 生き返った!

「もう2,3本 軽そうだね その分だと…。」

 からかうように言って 敦賀さんが 次の瓶を開けてくれる。 

「す、すみません…」

 恐縮しながら 受け取った。

 だって なぜだか ほんとに 喉がからからなんだもの!

 3本 一気に開けて やっと満足した!  

「酒だけじゃ 胃に悪い。ほら 佳奈さん特製 クリームチーズサンドもお食べ。」

「あ、ありがとうございます!」

 ランチBOXに入ってるサンドイッチに早速ぱくつく。

 …ついてから…気付いた…。

「あ、あの…敦賀さん?」

「俺達にヘリで食べろって渡してくれたものだから ちゃんと俺の分もある。心配しないで。」

 そう言って 敦賀さんが もう一つのケースを開けて食べ始める。

「あ、そ、それは よかったです…。」

 …じゃなくて!!

「あ、あの!…ここは!?」

 ぱちぱちと薪のはぜる暖炉
 木の組み合わさった山小屋風の…床に壁 
 たとえていうなら アルプスの少女ハイジの屋根裏部屋!

 ベッドだけは ふかふかの羽布団
 シーツも真っ白で清潔で…掛け布団には 薔薇の模様…

 ふぅ

 敦賀さんが 溜息をついた。

「…もう少し 脳天気になっててほしかったんだけど…ついに 気付いたか…。」

「…はっ?」

「とにかく まず このサンドイッチ食べてしまおう。この温度じゃ、明日までは 保たないし…
佳奈さんの心づくし ムダにしたくない。」


「そ、そう…ですね…。」

心の檻


「たっ、竜巻!?」

「そう…ちょうど 飛行ルートの途中で 発生してね。
とっさに 方向転換したものの 向こうは 気まぐれに方向変わるし…右往左往してたよ」


「す、すみません!私!そんなときに のんきに寝てたなんて!」

「いや その方が良かったよ。あの恐怖 君に味あわせなくてすんで…」

「…そ、そんな!」

「…それに 謝らなきゃならないのは 俺のほうなんだ…。」

「…え?」

「一緒に ついてきて。」

 敦賀さんが 荷物の中から 懐中電灯を出す。

 言われるがままに 木の扉を開けて 一緒に外に出る。

「見てごらん。」

 敦賀さんが 照らした懐中電灯の輪の中
 ぼわっと浮かび上がったものを見て息を飲んだ!

「へ、ヘリコプターのプロペラが!」

 お、折れてる!

「この島に緊急着陸する寸前で、竜巻の端っこに 当たってしまってね…。
必死に 操縦テク駆使して どうにかこうにか着地したものの…ついたとたんポッキリ…だ。」

 
「そ、それじゃあ…」

「帰るに帰れない…って わけだ。あの小屋で寝るしかない。」

 くりんと 今出てきたばかりの小屋を 振り返る。

 丸太を組み合わせてできた…ロッジハウス。
 わざと野性的にしつらえてるけど…よくよく見れば しゃれた建物だ。

 外には 大きな自家発電装置。
 浄水装置も大がかりで…このぶんでは下水装置も完備なんだろう。

 最低限の文化的な生活は 可能にしてる!

「よく入れましたね…?普通、鍵とか…」

 相当な大金持ちのお遊びの別荘だ!これ!

「実は、ここも 俺の別荘の一つでね。」

「…は?!」

「もともと、このロッジハウスは、BJシリーズの舞台として、撮影隊が造った物だ。
 当時の島の持ち主の方がそのままにしておいて差し支えないっていうから 
 お渡ししたんだけど…。」


 そりゃああー!

 タダで こんな素敵な別荘 手に入ったんなら!壊すのもったいないわよね!  

「つい最近、投機の失敗で、まとまった即金がいる…って泣きついてこられたから、
 島ごと買い取らせていただいたばかりでね。」


 …。

 『まとまった即金』…

 いったいいくらなのか
 聞きたいような…絶対に 聞きたくないような!!

「でも 不幸中の幸いだな。」

「は?」

 な、なにが…!?

「1週間の避難場所として 君に提供するつもりで 準備させてたから 君の着替えとか食料は
 充分に用意してる。」


「…あ…」

「俺の着替えも 1週間ホテル住まいのつもりだったから しっかり持ってきてるしね。」

「あ、あの!…歩いて…人家のあるところに…。」

「残念だけど…ここは無人島なんだよ。かなり小さな…ね。」

 …!

「竜巻の影響か 携帯は通じないし…。無線は ヘリのバランスが崩れたときに ダメになったし…
しばらくは 助けも呼べない。」


「そ、そんな!」

「不可抗力だよ。最上さん。大自然のいたずらだから…。」

 すっと 敦賀さんが 私の肩を抱いた。

「この際、君は向こうの世界に…俺は17年前に…お互いに戻ったつもりで…語り明かさない?」

 優しくほほえむ その表情は 昔のままの敦賀さん…

「明日には 連絡が取れるようになるから…気を楽にして…ね?」

 …。

 私が不安がらないよう 気を遣ってくれてるんだ…。

 そうとは気付かせないように さりげなく…。

「戻ろう…夜風は冷たいよ。」

 敦賀さんが 優しく私の腰を抱き寄せる。

「…はい…。」

 上空には 360度 半円球に星が輝く。

 つい数時間前に 竜巻がおこってたなんて信じられないほど 静かで穏やかだ。

 満天の星に見送られて
 もう一度 元のロッジハウスに戻っていった。



イラスト「心の檻」(「Heaven’s Garden」様より)

link-bn-g4.jpg



お題提供「恋したくなる お題配布」様より
「忘 れられない君へのお題」
恋したくなるお題配布bana2
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